Resonance

□07
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「少し暗いから気を付けろよ、タマゴ」

『うん、ありがとう』

リカルドとコーダが合流して、私達はマンホールの下の下水道へとやって来た。

先頭を進むのはスパーダだ。

「こっちだ、この奥に隠れ家があんだよ」

『ルカ達、居るかなぁ…?』

「行ってみれば分かる」

「コーダが先に行くのだ、しかし!」

私達はそんなやり取りをしながら奥の方へと進んで行った。

少し歩くと奥の方に明かりが見えて来る。

「………〜…!」

「…、!…」

複数人の話し声が聞こえる…?

良かった、みんなここに居たんだ。

『おーいみんな〜!』

話し声のする方に手を振ると、みんなはこちらへと振り返った。

「タマゴ!それにスパーダ達も…良かった、捕まってなくて」

ルカが私達を見て微笑んでくれる。

「うぉッ!なんだ!?オレの隠れ家が豪華になってる!」

スパーダはキョロキョロと辺りを見回していた。

隠れ家かぁ…確かにソファやテーブル、本棚があって隠れ家っぽい。

「なんや、あんたさんやったんか」

聞き慣れない声に驚いて振り返ると、そこには小さな女の子が一人立っていた。

「ここに住処作ってくれたん…ありがたく使わせてもろてるで」

「ああん?誰だよ、このチビっこいのは?」

「誰がチビっこいねん…そういうあんたはウスラデカイな!ウチはエルマーナっちゅうねん」

小さいのにハキハキと喋るエルマーナに偉いなぁと関心している中、エルマーナはルカを指差した。

「このルカっちゅう人に話は聞いたで。なぁあんた等、ウチと取り引きせぇへん?」

ニヤリと笑うエルマーナ。

そんな彼女に最初に反応したのはリカルドだった。

「取り引きだと…?ガキのくせにいっぱしの口をきくものだな」

「あんなぁ、ウチ等情報収集はお手のもんやねん。あんた等が必要な情報拾といてあげるわ。その間あんた等はここに隠れとり」

「ふむ…で、その代わり?」

「自分、話早いなぁ!」

エルマーナは言いながら明るく笑った。

この下水道が不釣り合いなくらいの明るい笑顔だ。

「その代わり、鍾乳洞の奥に金目のモンがあるっちゅう話やさかい、それ取って来てもらわれへん?」

「金目の物って、宝石とか?」

アンジュが首を傾げながらエルマーナに問う。

「宝石な!えぇなぁ、女の子の憧れやねぇ。でもそんなんちゃうねん。綺麗な地下水と湿気で生える、長寿の霊薬と言われとるキノコが生えとんねん」

「キノコ…?キノコって、地面とか枯れ木に生えるあのキノコ?」

「他にどんなキノコあんねんな…」

おぉ、なかなか鋭いツッコミだ。

エルマーナは話を続ける。

「ほんでな、それがめっちゃ高ぅ売れよんねん。めっちゃやで、めっちゃ!それあったらウチ等もうちょっとマシな生活出来る思うねん!ほら、悪いことせんでも済む生活」

「…悪いことをしなくて済む…」

アンジュが小さく呟いた。

「どうする?こんなガキが集める情報等、まるでアテにならないと思うが?」

「やってあげましょう、リカルドさん。みんなも構わない?」

『うん、私は良いと思う!』

私がアンジュの声に頷くと、アンジュは笑ってくれた。

「俺は、ただ働きは御免こうむりたいのだがな」

「あらリカルドさん。あなたの雇い主が誰か、どうすれば思い出して頂けます?」

「…やれやれ忘れてたよ。俺の雇い主は見掛けに似合わず強情なんだったな…仕方あるまい」

リカルドは諦めたように首を横に振った。

なんだかんだで付き合いの良い人だ。

…いや、付き合わされてるだけか。

私はリカルドの背中を軽く叩いておいた。
 
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