Resonance
□06
2ページ/19ページ
ハルトマンと共に作った紅茶を飲み終え、私達はダイニングで話し込んでいた。
「…では自己紹介も終わった所で、リカルドさん。私を誰の元に連れて行こうとなさったのですか?」
「そうそうそれよ!まずはその話ね!」
アンジュとイリアの声に釣られ、私達は揃ってリカルドに視線を集めた。
「それを他人に漏らすのは守秘義務違反…と言いたい所だがまぁ良いだろう」
『(良いんだ…)』
リカルドは一つ咳払いをして話し始めた。
「北の国テノスの貴族"アルベール・グランティオーザ"という男の元だ。知っているか?」
「アルベールさん…いいえ、面識どころか名前も存じ上げませんね」
「もしかしてお貴族様に密かに見初められたんじゃない?アンジュ、美人だもんね〜!」
いしし!と笑うイリアにアンジュは笑った。
「まさか…私テノスには行ったこともないし、知り合いだって居ないのよ」
「美人ってところは否定しねぇんだな」
『案外満更でも無さそうだね』
スパーダと私は揃ってアンジュを見つめた。
「私の身柄を確保したい理由は一体何なのかしら」
「理由は転生者だから…らしい」
「じゃ…じゃあ何!?そのアルベールってのも転生者を探してるわけ?」
「マティウスと同じだ!」
ルカとイリアは顔を見合わせていた。
「マティウス?ソイツは何者なんだよ」
「教団の大主天らしいんだけど、ソイツにイリアの故郷が襲われたんだ」
『じゃあ私がイリアに初めて会った時、追われてた相手ってのがマティウスのことなんだね』
「えぇ、そうよ」
イリアは故郷のことを思い出したのか苦い顔をしていた。
「やっばりアルベールってヤツもマティウスと同じで、創世力を手に入れようとしてるのかな…」
「なるほど…確かにアルベール・グランティオーザの使者は俺が転生者だと分かると質問してきたな。創世力を知ってるか?…と。創世力とは何なのだ?」
『"世界を創り変えることの出来る力"とだけ、ざっくり聞いてるけど…』
うーんと考えるリカルドと私に、スパーダも難しい顔をした。
「ん〜…なんとなく聞き覚えがある気はすんだけどよォ、上手く思い出せねぇ…」
「僕も確かに知っているんだ、でも…よく思い出せない…なんだか気持ち悪いや…」
「創世力か…う…アイタタタ…」
イリアが突然頭を押さえた。
「どうしたのイリア?」
『大丈夫?』
「ん…なんか急に頭痛くなっちゃった…あ、でももう平気」
イリアの頭痛は治まったのか頭から手を離した。
すると…
「創世力!そうよ!」
アンジュが急に声を上げた。
「創世力は天上界滅亡の原因!大変!止めないと!」
前世の記憶で何か思い出したのだろうか、アンジュは青ざめていた。
「創世力が…天上界滅亡の原因…?そう…だったっけ?」
「そういやそうだったような…」
「俺は全く思い出せんな」
「…で、その創世力とやらが天上界を滅ぼした力だとして、それがなぜこの地上にあるんだい?」
『うん?どういう意味…?』
コンウェイの言葉に私は首を傾げた。
「創世力が天上界を滅ぼしたということは、元は天上界にあったはずじゃないのかな」
「天上界が滅んだから落っこちてきた…とかかな?うーん…」
みんなで思案するが、このまま考えていても答えに辿り着けるわけではなさそうだ。