Resonance

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ハルトマンと共に作った紅茶を飲み終え、私達はダイニングで話し込んでいた。

「…では自己紹介も終わった所で、リカルドさん。私を誰の元に連れて行こうとなさったのですか?」

「そうそうそれよ!まずはその話ね!」

アンジュとイリアの声に釣られ、私達は揃ってリカルドに視線を集めた。

「それを他人に漏らすのは守秘義務違反…と言いたい所だがまぁ良いだろう」

『(良いんだ…)』

リカルドは一つ咳払いをして話し始めた。

「北の国テノスの貴族"アルベール・グランティオーザ"という男の元だ。知っているか?」

「アルベールさん…いいえ、面識どころか名前も存じ上げませんね」

「もしかしてお貴族様に密かに見初められたんじゃない?アンジュ、美人だもんね〜!」

いしし!と笑うイリアにアンジュは笑った。

「まさか…私テノスには行ったこともないし、知り合いだって居ないのよ」

美人ってところは否定しねぇんだな

案外満更でも無さそうだね

スパーダと私は揃ってアンジュを見つめた。

「私の身柄を確保したい理由は一体何なのかしら」

「理由は転生者だから…らしい」

「じゃ…じゃあ何!?そのアルベールってのも転生者を探してるわけ?」

「マティウスと同じだ!」

ルカとイリアは顔を見合わせていた。

「マティウス?ソイツは何者なんだよ」

「教団の大主天らしいんだけど、ソイツにイリアの故郷が襲われたんだ」

『じゃあ私がイリアに初めて会った時、追われてた相手ってのがマティウスのことなんだね』

「えぇ、そうよ」

イリアは故郷のことを思い出したのか苦い顔をしていた。

「やっばりアルベールってヤツもマティウスと同じで、創世力を手に入れようとしてるのかな…」

「なるほど…確かにアルベール・グランティオーザの使者は俺が転生者だと分かると質問してきたな。創世力を知ってるか?…と。創世力とは何なのだ?」

『"世界を創り変えることの出来る力"とだけ、ざっくり聞いてるけど…』

うーんと考えるリカルドと私に、スパーダも難しい顔をした。

「ん〜…なんとなく聞き覚えがある気はすんだけどよォ、上手く思い出せねぇ…」

「僕も確かに知っているんだ、でも…よく思い出せない…なんだか気持ち悪いや…」

「創世力か…う…アイタタタ…」

イリアが突然頭を押さえた。

「どうしたのイリア?」

『大丈夫?』

「ん…なんか急に頭痛くなっちゃった…あ、でももう平気」

イリアの頭痛は治まったのか頭から手を離した。

すると…

「創世力!そうよ!」

アンジュが急に声を上げた。

「創世力は天上界滅亡の原因!大変!止めないと!」

前世の記憶で何か思い出したのだろうか、アンジュは青ざめていた。

「創世力が…天上界滅亡の原因…?そう…だったっけ?」

「そういやそうだったような…」

「俺は全く思い出せんな」

「…で、その創世力とやらが天上界を滅ぼした力だとして、それがなぜこの地上にあるんだい?」

『うん?どういう意味…?』

コンウェイの言葉に私は首を傾げた。

「創世力が天上界を滅ぼしたということは、元は天上界にあったはずじゃないのかな」

「天上界が滅んだから落っこちてきた…とかかな?うーん…」

みんなで思案するが、このまま考えていても答えに辿り着けるわけではなさそうだ。
 
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