Resonance

□04
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戦争の混迷に紛れて、"西の戦場"から脱出した私達。

目的地を聖都ナーオスに決めて歩き続けて数時間が経った。

日没時間が近付いている。

『わぁ、綺麗な夕陽だね〜!』

「なーに呑気なこと言ってんのよ!魔物がウジャウジャ居るこんな森で日没時間過ぎちゃったら大変よ!?」

「森の中で、更に夜となっちゃあ視界は最悪だし、魔物の動きも活発になるだろうしな」

「あ、あそこに集落みたいなのがあるよ。行ってみよう!」

ルカの声に頷き、私達は足を早めて集落までやって来た。

「看板があるわ。"峠のキャンプ"…だって!」

『へぇ、武器屋に道具屋…旅行客用のお店が結構揃ってるんだね』

私達は辺りをキョロキョロと見回した。

後で見に行ってみようかな。

「"INN"って書いてるテントもあるよ。宿泊施設じゃないかな?」

「早速行ってみよーぜ!」

「さんせーい!」

「コーダも賛成なのだ しかし!」

私達はそんな話をしながら、"INN"と書かれた看板のあるテントに入った。

『こんばんは〜』

「おぉ、いらっしゃい!一泊20ガルドだけど休んでいくかい?」

「あ、はい。お願いします!」

代表して、ルカが宿主の男性とやり取りをしてくれる。

「一泊20ガルドなんて良心的な値段ね!いししし、ラッキー!」

宿代が思ったよりも安く済み、イリアは嬉しそうにしている。

そんなイリアを見て、宿主の男性はハハハと笑った。

「まぁキャンプなんてこんなものさ!狭いし暗いしねぇ」

『それでもありがたいですよ』

「ハハ、そうかいそうかい。君達のテントはそこを真っ直ぐ進んだ所だよ」

そんなやり取りをしながら支払いを済ませる。

「ここまで来るのに疲れただろう、何もない所だがゆっくり休んでいくと良いよ」

「ありがとうございます!じゃあ、僕達はこれで!」

ルカがぺこりとお辞儀をして、私達は指示されたテントへ向かった。



***



狭っ!!

イリアの大声がテント内に響いた。

「仕方無いよ、イリア…」

「まぁ文句言ったってしゃーねェ、諦めな!」

「うるさいわね、分かってるわよ…」

イリアはブツブツ言いながらテントに入る。

うん、本当に何もないな。

四人並んで寝る感じか…

これは身体が痛くなりそうだ。

あ、コーダも居るから正確には四人と一匹か。

いやまぁ、野宿よりは全然良いけどね!

「あーもう、足疲れた〜!」

「僕も…少し疲れたかな…」

イリアは言いながら座り込み、ルカは背中から大剣を下ろした。

ルカの大剣って特に重そうだもんね。

むしろあんな大きいの背負いながら、よく歩き回ってたなぁなんて感心する。

『あ、私ちょっと武器屋とか見てくるね!ついでに食料品があれば買ってくるよ』

「それは悪いよ!荷物持ちになら僕がなるよ!」

『いいのいいの、ついでだし』

着いて来てくれようとするルカをやんわりと断っておいた。

ただでさえ疲れているだろうに、荷物持ちなんてさせる訳にはいかない。

「オレも武器見に行きてェんだけどよ、タマゴと行っても良いか?」

『そうなの?じゃあ一緒に行こっか!』

スパーダも武器屋に行きたいとのこと。

「スパーダ、タマゴ、任せたわよ!ってことでルカ、足揉んで〜」

「う、うん!」

揉む側なのになんとなく嬉しそうなルカに苦笑して、スパーダと私はテントを出た。
 
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