Resonance
□03
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「止まれ、お前達」
『は、はいっ』
しばらく歩くと、味方の兵士さんが一人立っていた。
「あれを見ろ。あれはガラム軍の拠点だ、こんな所まで攻め込まれるとは…」
兵士さんの視線の先には、3.4人ほどの敵が居た。
「しかしゲリラ戦を得意とする連中がこうも堂々と姿を現しているなんて、我々王都軍をバカにしているとしか思えん!なんとかして奴等に報いてやりたいのだが…」
兵士さんはキョロキョロと辺りを見回した後、すぐ近くにある小さな獣道を指差した。
「あれだ!あの道を使い、奴等の背後に回り奇襲をかける…うむ、我ながら妙案だ!」
兵士さんはうん、と頷いている。
「よし、お前達。作戦は今伝えた通りだ。そこの獣道を通り、奴等の背後に回って奇襲をかけろ!そうすれば敵の陣形は崩れ、こちらの被害も最小限に抑えられるだろう」
「アンタが行きなさいよって言ってやりたいんだけど…仕方無いわね」
イリアはハァと溜め息をついて、獣道の入り口の方へと歩いて行く。
「正面から行けば、拠点に居る全員に気付かれ複数回の戦闘は免れないだろうから気を付けろ」
『はいっ』
「っし、行くか!」
私達は獣道を潜り、相手兵の後ろから襲い掛かった。
「ッラァ!今だ!!」
「なっ!敵襲だと!?総員 戦闘態勢!」
「「うわぁああ!!」」
相手兵は驚き、兵士が複数人逃げ出して行った。
「くっ!腰抜け共が…奇襲された程度で逃げおって!こんな小僧共、私一人で始末してくれるわ!」
相手兵が武器を構える。
私は素早くトリガーを引いた。
キィン!
「なにっ!」
相手の武器を弾き飛ばしたところで、ルカとスパーダが剣を振りかぶった。
「それにしても…いつ見ても惚れ惚れするわねェ、アンタの銃裁き。えげつないわ」
『え、ほんと?同じガンマンのイリアに褒められるなんて嬉しいなぁ…!』
銃の腕をイリアに褒められるのは素直に嬉しい。
えへへと笑うと、顔緩み過ぎよ!と注意されてしまったけれど。
そうしていると、兵士が一人で前から駆けて来た。
「ちッ…また居やがったぜ!」
「大丈夫…僕ならやれる。僕はアスラなんだから…」
ルカは自分に言い聞かせるようにそう呟いた。
するとそれが相手兵の耳に届いたのか、相手兵は目を見開いて驚いていた。
「…ッ!!なに、アスラだと!…そうか、貴様ァ アスラかぁああ!!」
「え?アスラのこと知ってるの?じゃあアンタ転生者ね!前世でアスラの知り合いだったの?」
『待ってイリア!この人、なんか様子がおかしい…!』
転生者に会えたことで喜ぶイリアを制し、私はレッグホルスターから銃を引き抜いた。
「知り合いだと!仇だ!我が父と兄を貴様に!アスラに斬られたのだ!」
兵士はルカを指差す。
「あちゃぁ〜…せっかくの転生者なのに、とても創生力について話を聞いたりできなさそうねぇ」
「全ラティオの同胞よ、ご照覧あれ!仇敵アスラの首を!今!細切れにして全ての墓前に捧げてくれよう!」
『来る…!』
みんなは武器を構える。
「うらぁああああッ!!」
兵士は前世の姿に戻った。