Resonance
□03
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「さぁ、ここからは戦場ね」
いつになく真面目な声色のイリアに、私は気が引き締まる思いだった。
「美味い物は無さそうだなしかし。つまらなそうな場所だ」
「僕、戦争なんて嫌だよ…なんで僕が戦争なんか…」
「おいビシッとしろォ!さっきはチトセ相手にカッコつけてたじゃねェか」
ルカはスパーダに喝を入れられている。
「それはそれ、これはこれだよ。だって…僕だって女の子の前じゃ少しはいいカッコしたいもの」
『ふふ、そういうもんなんだ?』
「う、うん…」
「気持ちは分かるけどよォ」
私が突っ込むと、ルカは恥ずかしそうに目線を逸らした。
スパーダはバシバシとルカの背中を叩く。
「ま…とにかく自信持てよ!お前はあのアスラなんだからよ!魔物相手に立派に戦ってたんだろ?おめェは強ェんだよッ!せめてそう思い込め!」
「そ…そうかな…うん、そうだよね…僕はアスラ…大丈夫大丈夫…」
「いざとなりゃおめェはオレが守る!忘れたか?オレは何度もお前の窮地を救ったろ?」
話を聞くと、ここに来るまでの戦闘のことを言っているように聞こえる。
けれど、ルカもスパーダもどこか懐かしい表情をしていた。
きっと前世での話なんだろう。
「ありがとうスパーダ!…よし、僕頑張るよ!さぁ行こう!」
スパーダによって元気付けられたルカは、珍しく先陣をきって歩き出した。
***
「なにあの女、マジムカつく!ルカのデレデレ顔引っ叩いてやろうかしら!」
イリアが"あの女"というのは、先程会ったチトセのことだろう。
イリアはチトセのことを思い返しては腹を立てているようだ。
「まぁまぁ落ち着けよ」
「な〜によ!また止めようっての?」
スパーダはイリアに落ち着くよう促している。
前々から思ってたけど、スパーダって仲介役とかその場を宥めるの上手いよね。
「まぁ話聞けよ」
うん、仲介役って大変だろうし、流石スパー…
「どうせならもっと良いタイミングで二人の仲、邪魔しようぜ」
『…んん!?』
私は驚いて目を丸くした。
「はぁ?そんな理由でアタシを止めてたの?アンタ意地悪いわね」
「お前に言われたくねェよ。まぁとにかくだ、どうせなら…もっと楽しもうって話だ」
イリアとスパーダはニヤリと口角を上げて笑う。
やっぱり二人って似てるなぁ。
「ふぅん…そういう理由なら納得ね、いひひひひひ…!」
「何だよその笑い方、明らかに悪人じゃねェか…」
『スパーダの提案もなかなかだよ…』
私は二人の隣で苦笑した。