Resonance

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施設内をしばらく歩き、一つの部屋に案内される。

「ルカ・ミルダ!イリア・アニーミ!スパーダ・ベルフォルマ!タマゴ・カステラ!これより貴様等の適性検査を行う!」

『…』

そこには軍服を着た男性が一人待ち構えていた。



***回想



「…オレに考えがある」

『か…考え…?気休めならやめて…』

自分から出るのは、今にも消え入りそうな声だけだった。

スパーダは首を横に振り、また私を見つめる。

「戦闘への適性を見るってことはよォ、逆に考えてみろ」

『逆…?』

「もし、"戦闘への適性が無いと判断されたら"?」

『!』

彼の言いたいことを理解した私を見て、スパーダは頷いた。

「どんな検査かは分からねェから、もし実戦だった場合は怪我を負うリスクがある…」

『うん…』

「けど…、」



***回想終了



『(逆にこの検査の中で、本当に天術が使えないことを知ってもらえれば…!)』

凄く自分に都合の良い考えかもしれない。

けど、私はもうその考えに縋るしかなかった。

「目の前の敵を倒せ…以上!!」

それに、私にはスパーダがついている。

まだ会って間もないけど、彼が私を見る目はいつだって真剣だ。

初めて会った時も、ナンパ男達から私を助けるべく天術を使ってくれた。

さっきは私の身体を気遣って、発砲するのをとめてくれた。

なぜだか分からないけれど、スパーダのおかげで凄く頭がクリアになった気がする。

うん…私は至って冷静だ。

「目の前の敵?一人じゃねーか!4対1かよ、ナメられたもんだなッ!」

「ちょ…ちょっと待ってよ!この人と戦うの?だって人間じゃないか!」

「そうだ、早く倒せ!さもなくば死ぬぞ?」

「嫌だよ!魔物相手ならともかく、この人にだって親や友達が…」

「ふん!相手はそう思ってはくれんぞ。いいのか?」

『…ん?それってどういう…』

私は首を傾げる。

同時に、軍服の男がルカを指差した。

「おい、そこの貴様ッ!」

「え?そこの貴様って…僕のこと…?」

指を差されたルカはおどおどとしている。

「覚えて…いや、思い出したぞ!貴様に殺された同胞達の顔を!貴様に砕かれた、我が四肢の痛みを!」

『えっ…ルカが?まさか…』

「ヘェ〜…アンタ見掛けによらず残酷なことしてたのね」

「してないよそんなこと!人違いでしょ?僕、喧嘩なんてしたことないし…ましてや人を殺すなんて!」

ルカは声を張り上げた。

そんなルカの言葉を聞いてか聞かずか、軍服の男は言葉を続ける。

「貴様を殺し、我がラティオの同胞達の命を贖わせてやる!!」

彼がそう叫ぶのと同時に、どこからともなく風が吹き荒れた。
 
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