Resonance
□02
1ページ/12ページ
施設内をしばらく歩き、一つの部屋に案内される。
「ルカ・ミルダ!イリア・アニーミ!スパーダ・ベルフォルマ!タマゴ・カステラ!これより貴様等の適性検査を行う!」
『…』
そこには軍服を着た男性が一人待ち構えていた。
***回想
「…オレに考えがある」
『か…考え…?気休めならやめて…』
自分から出るのは、今にも消え入りそうな声だけだった。
スパーダは首を横に振り、また私を見つめる。
「戦闘への適性を見るってことはよォ、逆に考えてみろ」
『逆…?』
「もし、"戦闘への適性が無いと判断されたら"?」
『!』
彼の言いたいことを理解した私を見て、スパーダは頷いた。
「どんな検査かは分からねェから、もし実戦だった場合は怪我を負うリスクがある…」
『うん…』
「けど…、」
***回想終了
『(逆にこの検査の中で、本当に天術が使えないことを知ってもらえれば…!)』
凄く自分に都合の良い考えかもしれない。
けど、私はもうその考えに縋るしかなかった。
「目の前の敵を倒せ…以上!!」
それに、私にはスパーダがついている。
まだ会って間もないけど、彼が私を見る目はいつだって真剣だ。
初めて会った時も、ナンパ男達から私を助けるべく天術を使ってくれた。
さっきは私の身体を気遣って、発砲するのをとめてくれた。
なぜだか分からないけれど、スパーダのおかげで凄く頭がクリアになった気がする。
うん…私は至って冷静だ。
「目の前の敵?一人じゃねーか!4対1かよ、ナメられたもんだなッ!」
「ちょ…ちょっと待ってよ!この人と戦うの?だって人間じゃないか!」
「そうだ、早く倒せ!さもなくば死ぬぞ?」
「嫌だよ!魔物相手ならともかく、この人にだって親や友達が…」
「ふん!相手はそう思ってはくれんぞ。いいのか?」
『…ん?それってどういう…』
私は首を傾げる。
同時に、軍服の男がルカを指差した。
「おい、そこの貴様ッ!」
「え?そこの貴様って…僕のこと…?」
指を差されたルカはおどおどとしている。
「覚えて…いや、思い出したぞ!貴様に殺された同胞達の顔を!貴様に砕かれた、我が四肢の痛みを!」
『えっ…ルカが?まさか…』
「ヘェ〜…アンタ見掛けによらず残酷なことしてたのね」
「してないよそんなこと!人違いでしょ?僕、喧嘩なんてしたことないし…ましてや人を殺すなんて!」
ルカは声を張り上げた。
そんなルカの言葉を聞いてか聞かずか、軍服の男は言葉を続ける。
「貴様を殺し、我がラティオの同胞達の命を贖わせてやる!!」
彼がそう叫ぶのと同時に、どこからともなく風が吹き荒れた。