テイルズ・イナイレ

□微熱
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『…』

暑い。

聞き込みのために街を歩き回って何時間経っただろうか。

私は、自分の少し先を歩くコンウェイの背中を見つめた。

あんなに着込んで、暑くないのかな。

「ねぇたまごさん、そろそろ休憩に…って、大丈夫?」

振り返ったコンウェイは私を見て驚いた表情を見せた。

いつも飄々としている彼がこんな顔を見せるのは珍しいな〜なんて考える。

「顔が赤いよ。それに汗の量も多い…宿に戻ろう」

『え、大丈夫だよ。歩き回ってちょっと疲れただけで…』

「いいから」

優しくも有無を言わさない口調でそう言われれば、大人しく従うしかなかった。

コンウェイは宿に戻るまで、私の肩を優しく支えていてくれた。

私の部屋に着いて、ベッドにゆっくりと座らせてくれる。

「ちょっと失礼するよ?」

『ん…』

彼の細長い指が私の額に触れる。

「…熱があるね。もしかして、朝ぼーっとしてたのもそのせい?」

ちらりとこちらを見るコンウェイに、私は小さく頷いた。

「言ってくれたら一日ゆっくり休ませてあげられたのに…」

『ごめんねコンウェイ…私、迷惑掛けて…』

「迷惑だなんて、そんなこと思ってないよ」

いつもの笑顔でそう言われるが、なんだか腑に落ちない。

「汗かいて気持ち悪いとは思うけど、体力も下がってるし今はシャワーは我慢してね」

『うん…』

「身体拭く?」

『うん…』

「手伝うよ」

『う…って、いやいやいいよ!』

流れで"うん"って言いそうになったけれど、私はハッとしてそれを制した。

「何で?一人で身体拭くの大変でしょ、しかも病人なのに」

『病人って…そんな大したもんじゃ…』

「いいから。ほら、病人は大人しくしてて」

少し強引に言いくるめられ、コンウェイは私の服に手を掛ける。

『う…』

ゆっくりと上半身の服を脱がされ、下着が露わになる。

なんだか違う意味で身体が熱くなってきた。

シュルシュルと衣擦れの音がして恥ずかしい。

コンウェイは表情を変えずに、衣服を軽く畳んで少し離れた所に置いた。

「身体、楽にしててよ。痛くしないからさ」

『ん…』

コンウェイは濡れタオルを私の腕に宛てがった。

冷たくて気持ち良い。

そして二の腕、肩、背中と優しく拭いてくれる。

「ねぇ…これ外していい?」

『う…って、それはだめ!』

「はは、だめか〜」

言いながらペチンとブラ紐を軽く引っ張られる。

まったく、油断も隙もない。

「じゃあ水でも買ってくるよ。少し待ってて」

『そこまでしてくれなくても大丈…』

「戻って来るまでに全身拭けてなかったら、ボクが拭くからね?」

『それは困る…!』

慌てて濡れタオルを手に取った私を見て、コンウェイはクスッと笑った。
 
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