テイルズ・イナイレ
□一週間前の出来事
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一週間前。
それは俺の可愛い可愛い彼女だった、たまごの誕生日。
…そう、たまごは俺の彼女「だった」のだ。
一週間前。
その日はたまごの誕生日。
俺はニートなりに頑張ってたまごの行きたがっていたレストランを予約した。
一人18,000円もするコースだ。
まぁその後の俺の生活はどうなったっていい。
たまごが喜んでくれるなら何だってする。
そう思ったんだ。
『ごめん、待たせちゃったね』
「いや、気にしないでくれ。俺はたまごのためなら何時間でもどんな状況でも待っていられるぜ、もし世界が海に沈んだとしてもな」
『どうやって?』
「忘れたのか?たまごのことを思うだけで俺は空を飛べるんだぜ?」
『あーうん、そうでしたね』
(※どう頑張っても人間は空を飛べません。)
待ち合わせの時間通り待ち合わせ場所に来たたまごと他愛もない会話をしながらレストランへ向かう。
そして、店の前まで来たかと思い立ち止まる。
『ここは…覚えててくれたんだ』
たまごは驚きを隠せない様子だ。
「当たり前だろ?たまごの言うことは何一つ聞き逃さねぇよ」
『………ふぇっ…ユーリ…』
俺の名前をつぶやきながら涙ぐむ。
やべぇまじで可愛い。
たまご好きだ、ガチで。
襲いたい。
可愛すぎるぜたまご。
可愛い可愛い可愛い可愛い可愛…
…ごほん。
とりあえず、そんなたまごをエスコートして店内へ入る。
そしてテーブルへと向かった。
「お待たせいたしました」
オードブルが運ばれてきても涙が止まらないたまご。
そんなたまごを横目にウェイターに゙すいませんね゙みたいな顔で一瞥する俺。
「なぁたまご…」
『…ゆ、ユ…リっ…ひっく…』
たまごに話しかけると、泣き止むどころか激しさを増す。
「そんなに泣くなって。せっかくの誕生日だし…ここ来たかったんだろ?」
想定外のドラマのようなシチュエーションに観客を欲する俺の声はよく響き、周りの客から祝福の微笑みを貰う。
『違う…違うの…』
尚も泣くたまご。
「何だよ、いいから涙拭けって」
ボルテージが上がり更に大声になる俺に惹きつけられる観衆の耳。
『別れたいの、ごめんね』
たまごの口から俺と店内に大きな爆弾が投下された。