Best Friends
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「なんや鶴の恩返しみたいな話やったなぁ」
『あぁ…確かにな!』
腕を頭の後ろで組みながら言う謙也に、私は相槌を打つ。
「まぁたまごは鶴っちゅーか、雀(スズメ)って感じやけどな!」
『はぁ!?』
謙也としては小動物的な意味で言いたいんやろうけど、私は声を荒げて言い返す。
『雀って"空のゴキブリ"て言われてんねんで!?知ってて言うてたらどつくで!?女子に向かってゴキブリとか言うんか謙也は!』
「知らん知らん!知ってて言うとったら悪意ありすぎやろそれ!」
詰め寄りながら謙也に言うと必死に否定しとった。
焦り方からして、ほんまに知らんかったっぽいな。
許したろ。
「それにしてもたまごってちゃんと女子っぽいとこあんねんなー」
何気なく言うた謙也に、私はとりあえずデコピンしといた。
「地味に痛い!…ガトーショコラとかオサレなモン、ちゃっかり作っちゃってさぁ」
ラッピングとかしちゃってさぁとか小言を言うてくる謙也。
私にどないせぇっちゅーんや。
あと"オサレ"とか言うところが無駄に腹立つ
『なんやねん、謙也も食べたかったん?』
「いや別にそういうわけやないけど!意外なとこあるんやなぁて」
『さっきから意外とかたまごでもとか失礼なやっちゃなー!私人並みには作れんで!なんなら今度作ってきたろか!?』
「待ってましたー!」
突然テンションの上がった謙也に、私は思わず肩を震わす。
「その言葉を待っとったんや!たまご気付くん遅ぅて、自分から言いそうになったわ!」
"今度作ってきたろか"って言葉を待ってたと…
待ってたというより誘導しとったでな
『別にそんくらい自分から言うてもえぇやん…』
ため息混じりに言う私に対して、男のプライドや!と訳のわからんことを言う謙也。
「とりあえず、お菓子待っとるから!」
期待の眼差しで見つめられ、私は"見栄張るんやなかった…"と、内心後悔した。
『(とりあえずまた菊に相談せな!)』
(参考までに言うけど俺が好きな食べ物はー、青汁とおでんのすじ肉やで!)
(それで何を作れっちゅーねん!)