Best Friends

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ピルルッ ピルルッ



『お?電話や』

休憩時間、ケータイに着信が入る。

私は特に画面も見ず、通話ボタンをタップした。

『もしもし?』

教室を出て、静かな場所はないかと廊下をうろつきながら電話に出る。

「《ヤッホー!お久し振りぃ!》」

お、この無駄に明るい声は。

『菊…!』

私の友達、菊丸英二くんや。

菊は東京の青春学園に通っとる。

なんで東京の友達がおるかて?

菊とはネトゲで知り合ったんや。

別に危ない出会い系とかそんなんちゃうで?

戦闘系のオンラインゲームで知り合って、個人でチャットしとったら同い年でテニスやってるってこと知って。

お互いの通学先を知って、おぉ!そこ知ってる!ってなって安心して(両校テニス部有名やから)。

なんかの拍子に一回電話してから、めっちゃ仲良うなってもうたんや。

『どないしたん?こないな時間に掛けてくるなんて珍しいやん』

そう、菊とは度々電話を交わす仲やねんけど、基本的に夜に電話することが多い。

「《実はさ〜今日も朝から乾のヤツ、新しいドリンク作って…》」

しょーもないことから真剣な悩み相談まで、こちらからするし向こうからもされる。

オンラインゲームの話よりも、身の回りの話が多い。

おかげで青学テニス部のメンバーを結構覚えることができた。

『あははは、そろそろそのドリンク克服できるんちゃうのん?』

「まっさかぁ〜!たまごちゃんは飲んだことないからそんなこと言えるんだよ〜!」

もちろん実際に会ったことはない。

でもこれから先もしかしたら、全国の舞台で会うことになるかもしれへんな。

「あ、先生来ちゃった!ほんじゃまた連絡するにゃ〜!」

『おん、ほなまたね!』

短く挨拶をして、通話を終了する。

『今度は私の話も聞いてもらおーっと』

次の授業のために、私はケータイの電源を切った。
 
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