Best Friends

□06
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そして放課後…部活の時間になった。

ゆでさんはジャージに着替え、既に先輩の指示通り走り回っとる。

…あれで、楽しいんやろうか。

「なんや小石川、さっきからたまごちゃんのことばっかりじろじろ見てぇ」

「え!?み、見てませんよ!」

部長のヒラゼン先輩に言われ、俺は顔を横に振って否定する。

ヒラゼン先輩はその後特にいじっては来ず。

代わりに、一氏がやってくる。

「小石川…ゆでさん、どない?」

「特に楽しいってわけやないみたいやけどなぁ…」

「そらそうや」

突然背後から聞こえた声に振り返ると、そこにおったんはハラテツ先輩。

「今は仕事中や、へらへら笑ってられへんのが普通やろ!」

視線をゆでさんに向けたままハラテツ先輩は言う。

「す、すんません」

どこから聞いとったんかはわからんけど、ゆでさんのことを言うとるのはバレたみたいや。

一氏は…っておらんし。

「ネット張んで、ネット!」

「はい!」

ハラテツ先輩の後に続いて俺はコートに出た。



***たまごside



「お前ら一旦休憩しよかー!」

ヒラゼン先輩の声が響く。

その声を合図に、みんなにドリンクとタオルを配る。

私は、一人一人へお疲れ様の声掛けを忘れへんように気遣ってるつもりや。

『健ちゃん!お疲れさん!』

私は少し離れたところでジャージで汗を拭う健ちゃんにまずタオルを、続いてドリンクを渡した。

健ちゃんはとってもとっても努力家や。

健ちゃんも全国の舞台に立ってほしいな。

「おおきに!」

みんなにおおきに言われるのがめちゃくちゃ気持ちええわぁ。

はー、私ってなんちゅうええマネージャーなんやろ。

マネージャーの鏡やな、うん。

うそですごめんなさい

ちょっと言うてみたかっただけなんです。

…しばらくして、みんなにドリンクを配り終える。

「たまごちゃん」

テニスコートにブラシをかけとったらハラテツ先輩がドリンクボトルを持って寄ってきた。

『ハラテツ先輩!どないしたんですか?』

私がそうたずねると、ハラテツ先輩はドリンクボトルを指差しながら言う。

「このことやねんけどな!」

ドリンクボトル!

覚えてるかテストしとるんちゃうで

ほんなら、なんやろう。

そんな私の心の中の疑問に、ハラテツ先輩は答えてくれる。

「作るんちょっとは上手なったなぁ思てな?」

『え、ほんまですか!?』

「おぅ!やるやんけ!」

そう言うて、背中をバシバシ叩いてくる。

褒められるんは嬉しいけど、結構痛い。

でも…ドリンクの作り方でも何でも、褒められるんってめっちゃ嬉しいな。

私は背中の痛みと共に幸せを噛み締めた。
 
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