Best Friends
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『な、なんで一氏くんが部室に…!』
「お前こそ、なんでこないな時間に外に一人で…!」
窓枠を挟んで、部室の中に一氏くん、部室の外に私がおる状態で話しとる。
『泥棒とか強盗は…!?』
「は、泥棒!?それより幽霊どこいったんや!?」
『幽霊!?』
あかん、話が噛み合わへん。
幽霊て何のこと言うてるんや…?
『とりあえず話そう…!部室の中には誰もおらへんかったん?』
「お、おう…ずっと俺一人や!」
『ほな待ってて!表から回って今から部室の中入るから!』
「わかった!」
短くコンタクトを取り、私は小走りで部室の入り口に回り込む。
ガチャリとドアを開けると、そこには一氏くんが一人でおった。
『みんなは…?』
「帰った。お前はなんでまだ残っとるん?」
私たちは話しながら、部室の椅子に腰掛ける。
『私は…』
クラスメートを待つためみんなに先帰ってもらったこと、約束をキャンセルされてヤケ掃除しとったこと、突然窓ガラスが割れたり変な音が聞こえたこと…
すべて一氏くんの問いにしっかりと答えた。
「なるほど、そうやったんか…」
『一氏くんはこないな時間まで何しとったん?』
「それはやな…ネタを磨くためや」
『え?』
思わぬ言葉に聞き返してしまう。
「実は…」
一氏くんは何やら話し始めた。
***回想
「一氏!今日もおもろかったで!」
「おぅ、おおきに!」
部活終了後。
ジャージから制服に着替えとったら、さっそく今日のネタを評価された。
まぁ俺にかかればどんなネタでも…
「でも新ネタはまだ未完成やったなぁ」
「えっ」
完成してるはずやねんけど
全身全霊で笑いをとりにいったつもりやってんけどな。
…なんて本音を言えるはずもなく。
「ま、まぁ、まだ未完成やったからなぁ!」
俺はその場を誤魔化した。
「ほな、俺先に帰るわな!」
「お疲れさん」
相手が出て行ったその時、俺は誓った。
「今日は夜中までネタ磨きや…!」
***回想終了
『で、部室内で一人残ってネタ磨いとったと…』
「せや」
重く頷く一氏くん。
『家でやれよ』
私は一氏くんの肩を叩きながら言うた。
『ついでに言うなら電気もつけぇや』
「省エネや!」
突然訳の分からんことを言い始めた一氏くん。
『あ、でも…部室の中の何かと目があったり、どついたり…あれは何やったんやろ』
「俺や」
『お前か』
私ははぁとため息をついた。