Best Friends

□05
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あれから5分くらい経った。

でも何の音沙汰もない。

『今何時やろ…』

時計は持ってへんから、時間はよぉわからん。

ケータイも鞄になおしてしもたし…

その鞄は部室のロッカーの中やし…

でも確実にさっきよりも暗くなっとる。

『はよ帰りたいんやけどな…』

もうしばらく待ってみることにした。



***



さらに5分経った。

でもやっぱり何も変わりはない。

『はぁ…何もあるわけない、かぁ』

なんかあほらしくなってきた。

はよ着替えてはよ荷物持って帰ろう。

割れたガラスは…知らん!

私はそろそろと倉庫の裏から這い出て立ち上がり、ジャージについた砂を軽く払う。

『はよ帰ろう、はよ帰ろう』

部室の入り口まで歩いて来て、ドアノブを握る。

『…』

やっぱりちょっと怖いかも

だって泥棒とか人殺しとか潜んでてもしドア開けたところを一突きされたら…

『…って、あかんあかん!そんなん考え始めたらキリないわ』

でもやっぱり中の様子は気になる。

『あ、せや…さっきの窓側から中の様子見えるやん…!』

私はドアノブを握る手を離して、部室の裏側へ回り込む。

『おっと、危ないなぁ』

先ほど割れたガラスがそのへんに散乱しとるから、それを踏まんように窓側へと近付く。

『…』

何も聞こえへんか…

目視するしかなさそうやな。

私は頭だけひょっこりと出し、静かに中の様子を伺う。

…暗くてあんまり見えへん。

でも異常は何もなさそうや。

そう思い、その場を離れようとした瞬間。



バチッ



至近距離におった部室の中の何かと、目が…合ったような気が…。

ぎゃあぁあああ!!

私は思わず大声を上げて…

ソレに向かって拳を振りかざした。



ゴッ



すると、なんと私の拳がクリーンヒットしてソレは部室の中に倒れ込んだ。

『うっ!』

私もその反動で部室の外側に倒れ込む。

肘や手のひらから地についたので、ジャリジャリッと嫌な音がした。

いやそれよりも、でっかい声上げてしもた…

さらに殴ってしもた…

相手が鉄砲とか持ってたら撃ち殺される…

せっかく部活も慣れてきたんにな…

お父さんお母さんみんな、さようなら…

私は目を瞑った。

「お前っ…ゆでさん!?」

名を呼ばれ、反射的に目を開ける。

するとそこには部室の中からこちらを見とる一氏くんがおった。
 
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