Best Friends

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白石くんと一緒に帰って分かったことがいくつかある。

ひとつは、家が結構近いらしいこと。

ふたつは、同じ小学校出身やったこと。

同じクラスにはなったことなかったみたいや。

「それにしてもゆでサン…」

『ん?』

人の挨拶聞いてなさすぎやろ

自分でも思うわ

私は堪忍な!と付け足す。

部活の時の先輩方とか新入生とか、クラスメートの挨拶とか…

聞いてるようで聞いてへんかったかも。

いやほら、解説とか忙しかったし。

『で、でも聞いてへんのやのうて、覚えられへんっていうか』

聞いてへんのと一緒や

確かに自分でも驚くほどの記憶力のなさやでな!

みんなが可哀相やもん!

「なぁ…"白石蔵ノ介"って、ほんまに覚えないん?」

『…すんません』

覚えがないという言葉の代わりに、謝罪の言葉を口にする。

すると白石くんはひとつため息をついた。

「自意識過剰やったわ…俺…」

『なにが?』

小学校で俺のこと知らん人おるとは思わんかった

どこのナルシスト?

え、白石くんってナルシストやったん?

そういう感じのキャラなん?

「どないしたん?」

『…いや、きっとなんかいろいろあったんやなぁて…』

変に気ぃ遣うんやめてや

笑いとるために言うたんに、と白石くんは苦笑いする。

『まぁでもたしかに白石くんって、聞いたことあるようなあらへんような…』

「ほんまか!?」

さきほどより少し嬉しそうな声で言う白石くん。

『いやぁはっきり覚えとるわけでもないんやけど、なんかこう…馴染みのある…っていうか…』

「そうか」

今度は思ったより素っ気ない返事やった。

また今度ちゃんと聞こう。

もうすぐ家や。

『ほな、私はここで!』

「え?送ってくで」

『えぇよえぇよそんなん!すぐそこやし!ほなね!』

勢いで、片手で手を振ると白石くんはまた苦笑いをする。

「気ぃ付けてな!」

私たちはそこで別れた。



(はよ帰ってモノマネ技術磨こーっと)
(はよ帰ってストレッチせな)
 
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