Best Friends
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「なんで教えてくれへんかったんよ、い・け・ずぅ〜」
「部員とマネージャーの恋かぁ…ネタ帳に書いとこ」
謙也と私は思わず振り返る。
「よぉ」
「『"よぉ"とちゃうわぁああ!!』」
謙也と私は大声を上げた。
「おぉ、息ピッタリやん」
「た、たまたまや!てかラブラブってなんでやねん!」
「忍足きゅん顔赤らめとる…可愛ぇわぁ、ロックオン☆」
「えぇネタできそうやわ!」
後ろにおった人、それは…
自転車を押して歩いてる白石くん。
自転車を押して歩いてる白石くんにくっついてるオカマさん。
自転車を押して歩いてる白石くんにくっついてるオカマさんの横で目を輝かせるヘアバンドくん。
あれ、ややこしいな
ん、ちょっと待てよ?
見間違うはずもあらへん。
「赤らめてへんわ!何で金色らがおるねん!」
すかさず謙也がツッコむ。
「うふ、何言うてんの。帰り道なんやからおるに決まってるやん?」
金色と呼ばれたオカマさんが腰をクネクネさせながら言う。
「でも『今朝、つかみの門でコントしとった人らやん!!』」
再び私の大声が周囲に響いた。
***回想
『遅刻や遅刻や〜!』
慣れへんテニス部での仕事や環境のせいか、寝床に行く時間が遅くなった私。
そのせいで起きたのは登校ギリギリの時間。
今日は朝練あらへんからって油断したわ。
『あぁもう時間あらへん…今日のつかみの門でのネタは“野球部の滑り込み“でえぇやろ!』
“つかみの門“にピンと来ない人に説明しよう!
つかみの門とは校門の別名で、学校で笑いをとる絶好のポイントや!
ボケなしで通るなんて考えられへん!
(※アニメOVA参照)
まぁそんな神聖な場所やけど、ネタをゆっくり考えとる時間すら今は惜しい。
私は野球部のユニフォームに着替えて家を飛び出した。
家を出て全力で砂ぼこりを巻き上げながらの登校。
そしてもうすぐ学校に着く!つかみの門が見えた!っちゅー瞬間。
ヒュオッ
『うわっ!?』
突然強い風が吹いて、野球帽が攫われて地面に落ちる。
少し引き返して帽子を拾い上げようとした、その時。
「そこの野球部、ちょっと待ちぃ」
『!』
声が掛かり、思わず止まって顔を上げる。
そこにおったんは…
「お前が落としたんは金色の小春か?銀色の小春か?」
『落としてません人違いです』
いつか部室で見た、オカマさんとバンダナくん。
バンダナくんが女神の格好してるんは分かるけどやな、オカマさん何なん?
なんでふたりおるん?
ゴールデンでぴかぴかに塗りたくられたオカマさんと、シルバーでぺかぺかに塗りたくられたオカマさん。
「お前は正直者やな。お前にはこれをやろう」
『胴色の小春もいらんわ!!』
ビシぃとツッコむと、周囲から笑いが飛んでくる。
「いらんのか?ほんなら…」
『いや何もいらんから帽子返して!』
門のところに立っとる先生も笑っとるんに、まだ続けるバンダナくん。
「お前ら、遅刻は見逃したるからはよ教室行けよ〜!」
まだ笑ってくれとる先生に、私たちはお礼を言いながら横をすり抜ける。
「今日のネタ、大成功やったわね!」
「さすがやで!」
「うふふ。たまごちゃんのおかげでもあるけど♪」
「なかなかやるやんけ、ゆでさん」
そう言うてふたりに見つめられる私。
『えーっと…ごめん名前何やっけ?』
ふたりとも名前を覚えててくれたんに、私は思い出されへん。
そんな私にオカマさんは笑いかけてくれた。
「ウチは金色小春言います〜、よろしゅうに♪」
「一氏ユウジや」
順番に手を取り、握手をする。
『改めてよろしゅう!』
***回想終了