Best Friends
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「お前は動物園で何見たん?」
「"鶏と小鳥とワニ(にわとりとことりとわに)"」
「ピンポイントやな!」
「以上、動物園に行った時の回文でした!」
パチパチパチ…
「あはははは!」
「めっちゃおもろいわ〜!」
私たちの前のコンビは先生や生徒のウケがめっちゃえぇみたいや。
ハードル上げられた…!
「ほな次行こか!忍足&ゆでコンビ!」
先生に呼ばれた私たちは顔を見合わせて頷き合った。
『行くで、"謙也"…!』
「任せとき、"たまご"!」
私たちは堂々とした足取りで黒板の前に向かい、そこに立った。
「なんや気合い入ってんな…ほな、はじめ!」
「お題、"か行で回文を作れ!"」
『テーマ、"浜辺の青春ストーリー"』
私たちが息を吸い込むと同時に生徒たちの視線を浴びる。
***しばらく漫才モードでお楽しみください。
(""←で囲まれたところが回文)
「なぁたまご、今日は二人であそこ行かへん?」
『え?あそこって…?』
「"高層倉庫(こうそうそうこ)"」
『え!?地上から遠すぎる高床式倉庫としてギネスに載ったっていう、あの!?』(※作り話です。)
「せや」
『えー、嫌や』
「話進まんなるから嫌とか言わんといてや」
『せやかて…』
「ほな、行ったことしにして、想像しながらでえぇから話してみよや!エアーでえぇから。な?」
『しゃーないな…』
「ほな仕切り直すで!…なぁたまご、今日は二人で高層倉庫行かへん?」
『え!二人で?いつも一緒におる久保くんと三木ちゃんは?』
「"君と僕と久保と三木(きみとぼくとくぼとみき)"、四人揃っていつものメンバー…やけど…」
『あ、そっか…久保くん、三木ちゃんに告白してフラれたもんな…気まずいか…仲良かったのにな、ふたりとも…』
「久保は"食った油塗り込み、懲りぬラブアタック(くったあぶらぬりこみこりぬらぶあたっく)"してるらしいわ、今でも」
『そら油塗り込まれたら嫌やわな』
「それでもすごいと思うけどな、個人的には」
『そうかなー…嫌がらせちゃうんかな逆に』
「俺はすごいと思うで。ほんまの気持ち…伝えれるだけすごいわ。なぁ?たまご?」
『え…』
「俺、たまごのことうわっ!」
『なんでこのタイミングでこけたん!?』
「いやなんか…貝殻につまずいてしもて…」
『いやここはどこやねん貝殻って』
「ちょっ…たまご見て!」
『なんやねんもう…』
「"貝殻から外貨(かいがらからがいか)"出てきたで…!」
『おーそうか、海渡ってきたんかもなぁその貝も…』
「まだ何か出てくるかもしれへんで!たまごはそこらへんの貝探して!俺はこっちな!」
『ここ浜辺の設定やったんやな』
「…」
『…』
「…」
『…』
「…」
『謙也〜これいつまでやるん?日ぃ暮れてきたけど…って、あれ?謙也は?』
「ザパァン!ふぅ、泳いだ泳いだ…ってたまご。さっきから一人で何やってるん?」
『なに泳いどんねん』
「え?やって、暇やったから…」
『探せ言うたん誰や…』
「えっ」
『探せ言うたん"謙也やんけー!!(けんややんけ)"』
バシィイとツッコミを入れ、頭を下げる。
「『ありがとうございました〜!』」
クラスの反応はと言うと…
「「「ぎゃーっはっはっは!!」」」
拍手喝采、笑いと涙の大嵐やった。