Best Friends
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「ほな一時間目、国語の授業をはじめまーす!」
先生がみんなに白紙のプリントを配りながら言う。
全員にプリントを行き渡ったことを確認した先生が言い放った。
「今から周りの人とコンビ組んで、回文ネタで漫才やってもらいます」
説明しよう!
回文(かいぶん)とは、上から読んでも下から読んでも同じ言葉のことを言うのだ。
例えば"しんぶんし"とかな!
みんな知ってると思うけど!
「は、ハードル高いですわぁ!」
「一回目の授業やのに!」
ブーブーとブーイングが広がる。
「甘い!!」
バァアンと黒板を叩きながら言う先生の気迫に負け、生徒たちは黙る。
「そんなんで世の中やっていけるわけあらへんぞ…」
ごくりと誰かの唾を飲む音が聞こえた。
「大阪ナメたらあかんでぇ!!」
「「『おぉぉ!!』」」
まるで先生の言葉が音頭を取ったように、私たち生徒は掛け声をあげた。
ある者は泣きながら拍手、ある者は立ち上がり雄叫びをあげる。
「まぁまぁ、あんたら一回落ち着きぃ」
先生は笑いながら言葉を続ける。
「あ行の回文、学校の回文、旅行に行った時の回文…ちゅー感じで、先生がランダムにお題渡していくから!とりあえずコンビ組んで!」
先生の言葉に、まわりががやがやし始める。
「コツは、自分がボケならツッコミの相手を見つけることやで〜」
『なるほど…!』
「なぁ!」
近くの席の女の子に声を掛けられる。
『ん?』
「たまごってボケ?ツッコミ?」
『ツッコミ!』
せや、私は間違いなくツッコミ!
絶対ツッコミ!
せやからボケの相手やったらビンゴなんやけど…
「うわ〜ウチもツッコミやぁ!他の子探すわ!ほな!」
女子生徒はそう言うて後ろの席の生徒へ話し掛け始める。
私も探さな。
「なぁなぁ」
『ん?』
今度は前の席の忍足くんが、こちらへ振り返りながら話し掛けてくる。
「今ゆでさん、ツッコミって聞こえたんやけど…」
『おん、せやで。てことはもしかして…?』
「その通り!俺ボケやから、コンビ組もや!」
『おっしゃ、ツッコミは任せときぃ!』
ここに一つのコンビが出来上がった!
ちょうどクラスのみんなもコンビが出来上がったみたいや。
それを確認した先生が"お題"と書かれた紙を配り始める。
「ほな今から20分やるから、ネタ作ってな!終わったらみんなの前で発表するで〜!」
先生の声にみんなで頷く。
「時間は先生が計ります!よぉーい…どぉん!」
先生のストップウォッチが作動し始めるのを確認して、私はお題の紙を手に取る。
『み、見るで…!』
「おう…!」
えぇネタ作りのためには、このお題がめちゃくちゃ大事や。
ぺらりと紙を裏返すと、そこに書いてあったのは…
"か行で回文を作れ!"
私たちは顔を見合わせた。