Best Friends
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私は大阪四天宝寺中学校に通う三年生。
名前は…
「たまごちゃーん!」
そう、名前はゆでたまご。
所属している部活は…
「テニスすんで〜、テニス!」
…そう、私はテニス部所属や。
でも、私がテニスをやってるわけやない。
私の仕事は…
「マネージャーが遅刻したら、みっともないで!」
『どつくぞ』
「なんで俺だけ!?」
そうです、私マネージャーなんです。
とりあえず先ほど喋った順番に、テニス部メンバーをはたいていく。
「いたぁ…」
「今のツッコミ、俺並に速かった…」
「なんかゆでサン、今日えらい不機嫌…」
『誰のせいや』
我らが部長にツッコみを入れたところで、周りが少し落ち着いた。
…いくつか、昔話をする。
昔言うても一、二年前の話やけど
今日のツッコミの切れ味について話し合うテニス部メンバーが視界の隅に入る。
さぁ、まずは二年前…
私がここに入学する頃の話や。
***
春。
別れの季節でもあり、出会いの季節でもある。
そして、学校では新入生が入ってくる季節。
ここ大阪四天宝寺中学校でも、そんな新入生を新たな仲間として迎え入れる準備をしていた。
「バスケ部どないですか!?」
「軽音楽部興味ある人〜!」
「大阪といえばお笑い研究部やろ!」
「みんなで一緒にカバディ部!」
上級生や新入生の人混みの中、ぺらりとパンフレットを開くたまご。
ムアンギ・シッテンホージ学校長の計らいで、ここは文武両道部活掛け持ち絶対、らしい。
『ふぅん…』
そんな中、上級生と見られる一人の男子生徒が人ごみに紛れながらたまごに近付いてきた。
「なぁなぁそこの君!」
周りをキョロキョロと見て自分が話しかけられていることを確認する。
『え?私…ですか?』
「せや、君や。水泳部とかどない?」
『え…えぇーっと…』
新学期早々上級生に目を付けられるのは嫌だと考えたたまごは、さりげなく断る理由を考える。
「活動内容だけでもよかったら聞いてってぇな、ほら、ブースすぐそこやから」
そう言いながら肩に腕を回され、たまごは思い付いたように言う。
『あ、すんません、もう入りたい部活決めてるんです』
「へぇ…どこなん?」
興味本意で聞いたのだろう。
上級生は薄く笑う。
『あー…』
パンフレットに目を滑らせれば、いくつもあるうちの一番上に書いてある部活が目についた。
『テニス部です』