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チーン!



『げぇっほえっほ、うぅ…煙吸い込んでしもた…』

オーブンを開ければ、そこには焼きたてクッキーがいくつもある。

私はそれらをある程度冷ましてから2つの袋に分け、ラッピングを施す。

こんな朝早くから、私はお菓子作りをしとった。

理由は簡単や。

光くんの怪我のお見舞いと、忍足くんに昨日お世話になったから、お返し。

百貨店とかで買えればえぇんやけど、生憎金欠やから無理や。

あいつら本人たちのせいでな!

『ふぅ…』

私はラッピングし終えた2つの袋を眺める。

あいつらが余計なもん(主にお菓子)買わすからそのせいで私は金欠になってしもたんや。

私お見舞い行かんでえぇんちゃうかなこれ。

まぁ私はそこまで鬼ちゃうから、ちゃんと持っていってあげるで。

私は袋をかばんに詰める。

靴を履いた私は玄関を開ける。

『いってきまーす!』

扉を閉めて、私の相棒…自転車の方へ駆け寄る。

『今日もほんまあっついなぁ、でも私が来たからにはもういけるで。いっぱい風、浴びさせたる!』

私は自転車のサドルを撫でた。

『まずは光くんの家に謝りにいかんと!』

自転車を車庫から出し、跨がり、ハンドルを握る。

『よっしゃ、行くで!』

ん、待てよ。

…光くんの家どこ?

一瞬周りの空気が冷えた気がした。

いやちょっと待て、落ち着けたまごちゃん。

なんとかなるやろ、たぶん適当に自転車漕いでたらいつかは光くんの家に…

つかへんわ

『あぁもう!完全に計算ミスやわ…』

はぁと溜め息をついて辺りを見渡す。

ん、待てよ。

コンビニに行ったら、忍足くんおるんちゃうかな?

運が良かったら、会えるかも!

おらんかったら千夏さんに忍足くんの電話番号聞こ。

決してストーカー的な意味ちゃうで。

忍足くんの電話番号ゲットすることが目的なんちゃうで、うん。

今日は何曜日やっけ、確か今日も千夏さんはおるはずや。

あんなに可愛ぇ人が固定シフトやったら、そらみんな会いに来るわな。

『そうと決まれば、コンビニ行くで!』

私は、自転車のハンドルを握り直した。
 
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