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「たまご〜」
『ん〜?』
お母さんに名前を呼ばれる。
「ホッチキス買ってきて!壊れたねん!」
『どないしたら壊れるねん。自分で行ってきてや!』
部屋から顔だけ覗かせて言う。
「えぇからはよ、漫画全部捨てるで!?」
『あかんあかんあかん!』
何それ、脅迫やん!
「ここにお金置いとくから〜!」
『はーい…』
渋々、部屋を出る。
『ほんまうるさいなぁ、もう』
「何か?」
『いいえ何も』
家を出て、自転車に跨がる。
『あ、蚊。シッシッ!』
蚊を追い払って、コンビニに自転車を走らせた。
***
コンビニの前に自転車を止める。
すると後ろから呼び止められた。
「ゆでさん!」
『え?』
呼ばれて振り返ると、忍足くんと光くんが立っとった。
『忍足くん、光くん!』
「どないしたん、またゴリゴリちゃん買うん?」
「…」
忍足くんが歩み寄ってくる。
光くんは相変わらずケータイをいじってるけど。
『ちゃうねん、ホッチキス壊れてん…』
「ホッチキス壊れることなんか滅多にないやろ…」
すかさず、忍足くんにつっこまれる。
『オカンがな…。忍足くんと光くんは?』
「何となく、ニ人で寄ろかってな」
「ちゃいますわ、俺はまじめに練習しとったのに謙也さんが一方的に俺のこと拉致って…」
「この話はフィクションです!」
『あはは、とりあえず中入ろうや!』
「せやな…」
私たちは足を揃えて中に入った。