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『ほんま有り得へん!このクソ生意気ピアス野郎!』

「知りませんわ、そんなん」

『むぅ、むかつくっ…』

「全然可愛くないですよ、オネーサン?」

「………あの〜」

『オネーサン言うな!からかってんのか!』

「からかってますけど」

『うがー!!』

「大体自分、もっと色気のあること言うたらどうなん?やいのやいの、うるさいっスわ」

『なっ…!』

「………あの、すいません」

『財前くんには関係あらへんやろ!』

「"財前くん"とか…馴れ馴れし…」

『ほんなら何t「そろそろやめぇや?」』

はい。…って、千夏さん!いつの間に…』

レジの方を見ると、千夏さんが立っとった。

「そこ、謙也くんも!」

「え、俺もですか!?」

忍足くん、関係あらへんのに。

そんなことを思っていると

「ほら、あんなべっぴんさんみたいに振る舞われへんのか」

ププ、と含み笑いをしながら言う財前くんに、ついに理性がきかなくなった。

『こんのピアス野郎ぉぉぉ!!ぶっ飛ばす!』

財前くんに向かって叫ぶ。

「たまごちゃん、黙りぃ!」

はい

私の理性の回復が早すぎる件。

「これ以上騒ぐんやったら、外で。な?」

そう言って、ニコッと笑う千夏さんに、これ以上の悪寒を感じたことはない。

すると

「ほんますんません!うちの後輩らが…」

白石くん…!

えぇ人やな。

千夏さんに謝ってる白石くんを見る。

すると、白石くんはこっちを向いた。

…めっちゃ笑顔で。

「ほな、そろそろ帰りまひょか〜?」

「せやな、小春。はよ帰ってやらなあかんことあるしな」

「そうなん?ほな帰ろか」

みんなはコンビニから出ていく。



ぴろろん ぴろろ〜ん



「ほんでさぁー…」

「うふふ…あ、たまごちゃんもおいでぇなー」

『あ、おん!』

坊主のオカマ口調の人に呼ばれて、みんなの後を追う。

「…」

『ん?』

ふと忍足くんを見てみる。

みんな店から出てるのに、忍足くんはレジの方を見てぼーっとしとった。

『…忍足くん…?』

「え?あっ…堪忍な…」

声をかけると気付いたのか、忍足くんは走って店を出てきた。

『どないしたん?ぼーっとして…』

「あ、いや…腹減ったなぁって…」

『なるほど…』

おなかがすいとった私はすんなり納得した。

「財前!…と、ゆでサン?…やったっけ?」

『あ、おん!』

「話戻すけど、財前とゆでサン!」

「はい…」

『おん、何?』

「次、店員さんに迷惑かけたら…」

白石くんは笑顔で



バキボキッ



「…こうやで」

関節を鳴らせて言った…。

「『は、はい…』」

「「(白石(蔵リン)めっちゃ怖っ…!)」」



***



あれから一時間くらい話し込んでしもた。

そのおかげでみんなと仲良うなれたけど。

「ほな、俺らそろそろ帰るわ!夜の営みがあるからな!行こ、小春」

『(夜の営み…)』

そう言って自転車のハンドルを握る一氏くんの後ろに小春ちゃんも乗る。

二人乗り状態やな。

「みんな、また明日ね。たまごちゃんも♪」

『おん、バイバイ!』

自転車で去っていく一氏くんと小春ちゃんに手を振る。

「俺も帰るわ」

「あ、俺も!」

「俺も帰らせてもらいますわ」

白石くん、忍足くん、財前くんが言う。

『ほな私も!』

「ほな、またなゆでさん!」

『またな忍足くん!』

短い挨拶を交わして、忍足くんはすごい勢いで自転車を漕いで帰っていった。

『…』

そら、あんなけ速かったら四天宝寺も10分で着くわ。

「いつでも遊びに来ぃや?」

忍足くんの速さに唖然としていると、白石くんはそう言って頭を撫でてくれた。

『あ、おん。おおきに!』

「ほなな、ゆでサン」

『バイバイ白石くん!』

白石くんは手を振りながらみんなと逆方面へ帰っていった。

残るは、財前くん…やけど…。

「…」

チラッと財前くんの方を見ると…ケータイをいじっとった。

『…』

「…」

自転車に跨がったまま、ケータイをいじる財前くん。

なんか気まずい…。
 
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