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ぴろろん ぴろろ〜ん



学校帰り、コンビニに入る。

真夏の歩道は、なんかもう笑えるほど暑い。

せやからコンビニは私たち庶民にとって救いの場所や。

涼しくなるまで忍者物語、KAMABOKO―カマボコ―を読んで、すぐに帰るつもりや。

「いらっしゃいませ〜」

今日のレジ番は千夏さんでも忍足くんでもないんか。

本を手に取り、読み始めた。



***



本を読み終え、棚に戻す。

そろそろ帰ろかな?

そう思い、出口の方を向いた瞬間。



ぴろろん ぴろろ〜ん



ガヤガヤと、イケメン集団が入ってきた。

集団って言うても、5人ほどやけど。

「…って、部室で光が!」

「覚えてませんわ」

「ほんまに…」

うわ、ほんまにイケメンばっかり…。

「あれ…ゆでさん…?」

あ、忍足くんやん。

手をひらつかせている。

振り返そうと思ったが、なんとなく手を引っ込める。

「え?…あれ?」

忍足くんが?マークを浮かべていると

「彼女っスか?」

横からそんなことを言う黒髪くんが。

「ち、ちゃうわ!」

「えー、どこどこ?どこにおるんー?」

さらに横から口を出すオカマ口調坊主の人。

「彼女ちゃうけど、あの子!あ、今こっち見た!ゆでさーん!」

忍足くんが手を振ってきたけれど、あえての無言。

『…』

どんな反応するやろか。

「あれ?何で無言?」

「人違いなんちゃうん?」

「あほか!んなわけあるか!ちょっゆでさん!」

こっちまで歩いてきて、肩を掴んでくる。

どちらさんですか?

「え!?」

「「「ぎゃーっはっはっは!!」」」

周りのみんなが爆笑する。

「ちょ、え!?ほんまに人違い!?すいません!」

肩から手を離される。

『ウソやって、忍足くん!』

笑いかければ、忍足くんは安心したような顔をする。

「何やねん、めっちゃ焦ったやん!」

『からかいたくなってな!あはは』

忍足くんと話していると、隣から左手に包帯を巻いた人が出てきた。

ミイラ男や…

「自分、なかなかおもろいやん」

いや、ミイラ男やないか。

包帯男…?

ミイラ…

包帯男…

ミイラ…

包帯男…

『あ、包帯男…やなくて、ミイラくん、おおきにね』

あんま変わらんし

あ、ミイラって言うてしもた。

「こいつら、うちのテニス部のメンバーや!」

忍足くんが説明してくれる。

『そうなん?ゆでたまごです、よろしゅう』

「テニス部部長、白石蔵ノ介や」

「ウチ、金色小春!よろしゅう!」

「一氏ユウジや」

で、最後に。

「…」

『?』

黒髪くんが黙ってたから軽く首を傾げる。

「別に名乗らんでもえぇやろ、特に会うことも喋ることもあらへんし」

『なっ…!』

何やこの子!

生意気やな。

「こら財前!」

財前て言うんか。

「別にえぇやないですか、こんな人…」



イラッ



『ざ、財前…くん?』

わざと怒りを抑えたような口調で言えば

「………はい?」

めっちゃ鬱陶しそうな顔をされる。

『…っ』

怒りを堪え、笑顔を作る。

『あんまりオネーサンを怒らせへん方がえぇと思うけどなぁ?』

「「(めっちゃ笑っとる…!!)」」

私は笑顔で財前くんを見る。

すると

ハッ…

鼻で笑われた!

『くっそぉぉぉむかつくぅぅぅ!!』

「待て待て待て!」

財前くんに飛びかかろうとしたところを後ろから、白石くん(やったっけ?)に羽交い締めにされる。

『自分、白石くん言うた!?離してや!一発やったらんと気ぃ済まへん!』

「まぁまぁまぁ!落ち着こ!な?」

暴れる私を押さえる白石くん。

『〜っ…』

おかげで、なんとか堪えられたのに。

「オネーサンやって、自称オネーサンやって、この人。俺よりチビのくせに」

『うがぁああ!!もぉムリぃ!我慢できひん〜!』

手足をバタつかせるも、白石くんには敵わんかった。

「光もやめぇや」

「やってこの人が…」

『私のせい!?』

それからしばらく、私と財前くんの言い合いが続いた。
 
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