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ぴろろん ぴろろ〜ん



「いぃ…らっしゃいませ」

『あ、忍足くん』

「ゆでさん!」

学校帰りにコンビニに寄ると、忍足くんがレジ番やった。

『もうだいぶ慣れたみたいやなぁ!』

「まぁな!」

エッヘン、と威張ってみせる忍足くん。

『ハロゲンダッツのバニラ味奢ってや』

「何で!?高いやん!しかも味指定!」

『あはは』

あー、なんか忍足くんとのやりとりってめっちゃ癒されるわー。

そんなことを考えてたら

「ずいぶん楽しそうやねー!謙也くん、たまごちゃん」

店の奥から

「『千夏さん!』」

千夏さんがでてきた。

「久しぶりやなたまごちゃん!」

『千夏さんも久しぶり〜!昨日おらんかったよな!?』

レジの台を飛び越える勢いで千夏さんに喋りかける。

「え、ニ人とも知り合いなん?…ですか?」

忍足くんは、私らが知り合いやってことにびっくりしたみたいやった。

「めっちゃ仲良しやで?な、たまごちゃん」

『おん!気ぃ合うしな!』

「へぇ〜…」

「それより、ウチは謙也くんとたまごちゃんが知り合いやってことにびっくりしてんけど…」

『昨日知り合ってん!な、忍足くん』

「おん!昨日たまたまな」

「へぇ…」

『それより私は忍足くんと千夏さんが知り合いってことにびびったんやけど』

「何言うてんのたまごちゃん、ウチらはここで働いてんねんで?」

『あ!そっか!』

「あほやん!」

『忍足くんには言われたないわ』

「どういう意味やねん!」

「はいはい、ニ人とも落ち着きぃや」

千夏さんによってなだめられる。

「で、たまごちゃんは何か買うモンあるんやろ?」

『あ、せやった!もげるチーズ買いにきてん!』

「もげるチーズ…俺も食べたなってきた…」

「はい、謙也くんもレジにつく!お客さん来るで!」

「あ、はい!」

千夏さん、すごいなぁ…。

そんなことを考えながら、とりあえずもげるチーズとポッチーを購入。

『ポッチー言うたら極細やんなぁ』

「はぁ?ポッチー言うたら標準サイズやろ!極細とか有り得へん」

『標準の方が有り得へん!千夏さんどっち派?』

「うーん…イチゴ味かな

「『(どっちでもあらへん…)』」

『でも千夏さん、イチゴ味とか…めっちゃ女の子って感じがする』

「そう?」

「ゆでさんとは全然ちゃうなぁ」

黙れドジッ子!

「え、ドジッ子!?俺ドジッ子!?」

「…っあはは!」

言い合いをしてたら、千夏さんが笑い出した。

「『?』」

「ニ人ともおもろいなぁ、ほんまに昨日知り合ったばっかり?」

『ほんまやで!忍足くんがゴリゴリちゃんを…』

「わー!!それ以上言うなや!」

『何恥ずかしがっとるん、今さら…』

「当たり前や!」

「なになに?気になるやん」

千夏さんはそう言いながら手際よく作業を進める。

「はい、たまごちゃん。236円な」

『ん、おおきに!』

「あ、千夏さんすいません!俺レジやってへんかった…」

「全然えぇんよ!」

『忍足くん、しっかりしぃや!』

「うっ…」

言葉につまえる忍足くんに笑いかける。

『ほな、忍足くんに千夏さん、またな!』

「おん!またな!」

手を振ると、忍足くんが振り返してくれた。

「ありがとうございました〜」

それと、いつまでも笑顔な千夏さん。

店員の立場であることを忘れてへん。

すごいわ。

「あ、ありがとうございました!」

つられて、忍足くんも頭を下げる。



ぴろろん ぴろろ〜ん



私はそこで店を出た。
 
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