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爆豪くんは保健室の先生の手当てを受けていた。

手当てと言っても、消毒液と絆創膏程度のものだけれど。

「これでよし。気を付けなよ〜」

『ありがとうございました、失礼します』

「…」

手当てを受け終えた爆豪くんと私は廊下へ出る。

『大したことなくて良かったよ〜…早く体育館戻ろ!』

「…」

『…爆豪くん?』

爆豪くんは絆創膏を巻かれた部位を見つめて何も言わない。

かと思えば。

「…」

『!?』

何を思ったのか、今貼ってもらったばかりの絆創膏を爆豪くんはベリベリと剥がし始めた。

『な、何やってんの?』

「怪我したんはテメェのせいだろーが、テメェが治せ。"個性"使ってみろや、オラ」

『えぇ…何で…』

爆豪くんはムスッとしたまま腕を私の目の前に突き出してくる。

「テメェの"個性"を俺の身体で試してやるっつってんだよ、はよしろノロマ」

『え〜…?うぅーん…分かった…』

せっかく先生に診てもらったのに勿体無いような気がするけど…

『(使うと眠くなるから出来るだけ使いたくないんだけどなぁ、"個性"…)』

何を言っても爆豪くんが納得してくれる訳でもなさそうだし、すぐに終わらせるしかないか。

『ちょっと診せてね…』

言いながら私は、差し出された爆豪くんの腕に触れた。

ピクッと僅かに爆豪くんの肩が揺れる。

『(何で身構えられてんの、私…)』

そう思いながら内心で苦笑する。

まぁいいや、この程度の怪我なら割とすぐに治せそうだ。

私は患部に手を翳し、力を込めた。

『…』

「…」

…徐々に傷口が再生していく。

爆豪くんと私の間に会話は無いけれど、彼はじっとその様子を見つめていた。

『…』

「…」

しばらく経つと、先程までそこに在った傷は跡形もなく消え去っていた。

『…ん、これで大丈夫だと思う!』

「ふーん…」

爆豪くんはじろじろと色んな角度から自身の腕を見ている。

おお…そんなに見られると不安になってくるぞ。

『ま、まだ痛む…?』

「いや…」

『?』

爆豪くんが自身の腕から目を離し、こちらを見る。

パチリと目が合った。

「たまには役に立つじゃねーか」

『へ…』

フッと笑いながら言う爆豪くんに、私は思わずその場で固まった。

こんな風に優しく笑うことも出来るんだ。

びっくりした。

『…』

「あ゙?なに間抜け面晒してやがんだ、みっともねェな」

『え、いや…』

爆豪くんはいつもの調子で間抜けだのみっともないだの言ってくるけれど。

『…爆豪くんって、そんなに優しく笑うんだね』

ちょっとびっくりしたよ〜、なんて言いながら私は笑う。

すると、

「!!」

彼はバッと勢い良く片腕で顔を隠した。

「…は?…はァア…!!?」

眉間に皺を寄せているが、彼の頬は赤く染まっている。

それを見た私も釣られて顔に熱が集まるのが分かった。

爆豪くんも照れたりするんだ。

『え、な、何…!?』

「っせぇ!!目ン玉腐ってんじゃねェのかテメェ!!」

『ひっどいな相変わらず!』

そんな調子で、私達はやいのやいのと言い合いをしながら体育館へと戻ったのだった。
 
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