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「ちょっとお手洗い行ってきても良い?」

『うん、じゃああっちで待ってるね!』

「了解!」

ショッピングモール内を友達と歩いていると、友達がお手洗いに行きたいと言い出した。

そのため私は適当に近くのベンチに座り、友達を待つことにした。

『ふぅ…』

少し服装に気合い入れて来ちゃった上に、結構歩き回ったから疲れたな。

今日はよく眠れそうだ。

『(平和だなぁ)』

この世界のどこかに敵(ヴィラン)が潜んでいるのが信じられないくらいだ。

なんて、平和ボケし過ぎか。

「ゆで?」

『え?』

ふと後ろから声を掛けられた。

顔を上げるとそこに居たのは、爆豪くんの友達が数人。

爆豪くんの姿は無い。

『うわぁびっくりした、どうしたのこんな所で!』

「地元なんだから買い物くらい来るっしょ!」

「相変わらず間抜けなこと言ってんなぁ〜!」

『失礼な!』

そんな調子で少し盛り上がっていると、彼等が私の後方を見て声を上げた。

「おぅ勝己!遅かったな!」

「『!』」

振り返ると、あの爆豪くんがそこに居た。

爆豪くんは私を見て驚いているようだ。

『…やっほ』

「…」

クラスメイトに声を掛けないのも微妙な感じなので、軽く挨拶をしてみる。

しかし爆豪くんはしかめっ面で返事をしてくれない。

私の目の前までやって来た彼は、返事をするどころかむしろ無言で私を見下ろしている。

かと思えば。

「何が悲しくて休日までテメェの間抜け面見なきゃなんねーんだよ」

そう一言言い放たれた。

『…それは私が言いたいっての…』

イラッとする気持ちを抑えながら小声でボソッと呟く。

するとそれが爆豪くんに聞こえていたようで。

「んだとコラァ!?ブッ飛ばすぞテメェ!!」

『うわっ!ちょっとやめてよ!?』

怒鳴られたかと思えば、腕を掴まれた。

容赦無く掴まれているので腕が痛い。

あぁもう、何で休日までこんな目に。

「たまご、お待たせ…って、爆豪達じゃん!」

救世主が現れた!

お手洗いに行っていた友達が戻って来たのだ。

「あ?んだテメェ殺すぞコラ」

名前呼んだだけだよね?

爆豪くんは舌打ちをしながら、私の腕から手を離した。

「んじゃアンタ達また明日ね!たまご〜行くよ〜!」

『あ、うん!…じゃあねぇ』

私は友達に連れられるようにしてその場を去った。

「おーい、俺等も行こうぜ!」

「…」

「ププ…勝己、ゆでのこと見過ぎじゃね?」

「私服姿、新鮮だもんな〜!」

「あぁん!?見てねェわふざけんな!調子ブッこいてると爆殺すんぞテメェ等!!」

「ギャー!ごめんて!」

そんなやり取りがあったことは、もちろん知る由もない。
 
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