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「たまご、おはよう!」

『あ、おはよ〜!』

校門でクラスメイトと出会い、他愛のない会話をしながら教室へと足を向ける。

「それにしても昨日のたまご、凄かったね〜!」

『へ?昨日?』

「覚えてないの?爆豪勝己とモメてたじゃん!」

『………あぁ…』

凄い遠い目

いや、これくらいは許してほしい。

だって昨日はクラス替えがあって、"噂"の爆豪勝己と隣の席だって知って、挨拶しようとしただけなのに。



"…そう言うんを英語で話せってんだよ低脳間抜け人間が。さっきの話聞いてなかったんか、あァ?"

"謝んなようっぜェなァ、どーせ謝んならハナッから喋んなっつーの!"



明らかに人を馬鹿にしたようなあの態度、セリフ、言葉遣い。

『あれでイラつかないくらい、寛容な人だったら良かったんだけどねぇ』

思わずこちらも言い返してしまうほどの傍若無人さだった。

「相手がアレなだけで、たまごは充分寛容だと思うけど…」

『あはは、ナイスフォロー!』

話しながら教室へ着き、ガラッと教室の扉を開ける。

すると視界に映ったのは…

「勝己〜、数学の宿題写させて!ジュース奢るから!」

「は?自分でやれや」

「んじゃあ昼メシ奢る!」

机の上に足を乗せながら友達と話している爆豪くん。

『相変わらず偉っそーだな〜…』

私は小声で呟きながら自分の席へと足を向ける。

が。

『あの…そこ私の席なんだけど』

「あァ?」

本来の爆豪くんの席には彼の友達が腰掛けており、爆豪くん本人は私の席に座っている。

「ケチくせーなァ間抜け女、まだ授業始まってねェんだから席借りるくらい良いだろうが」

『それは良いよ?でも靴履いたまま机に足掛けないで。汚れるじゃん』

「ハァ?」

眉間に皺を寄せて明らかに不快そうにされるが、そうしたいのはこちらの方だ。

やるなら自分の机でやってほしい、不愉快極まりない。

「ギャハハ!勝己、"汚れる〜"とか言われてやんの!」

「黙れテメェ等殺すぞ!!」

「うっ…ご、ごめんて〜…」

「てか勝己、マジで宿題見せて!もうチャイム鳴っちまうって〜!」

ギャンギャンと騒がしい男子達を眺めながら、私は小さく溜め息を吐いた。

『(新学期早々、先が思いやられるなぁ…)』

「(クッソ!調子乗んなよこの間抜け女が…!)」

爆豪くんが内心で舌打ちをしていたことなんて知らずに。
 
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