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春休みが明けた。

「おぉ、勝己同じクラスじゃん!」

「俺は離れちまったな〜」

クソつまんねェ始業式を終え、モブ共で溢れ返った新しい教室に入る。

俺は指定されている席にドカッと座った。

窓際から二列目、前から三番目の席だ。

「田中は別のクラス?」

「たぶん隣じゃね?」

「たまごと同じクラスで良かったぁ〜!」

『ほんとだ、よろしくね!』

周りのモブ共が誰と同じクラスで良かっただの良くないだの騒いでやがる。

「(ハッ!モブはモブらしく騒いでろ!)」

誰と同じクラスになろうが関係無ェ。

俺はこの無名の折寺中学を出て、No.1ヒーロー オールマイトの出身校である雄英高校に必ず行く。

そんでオールマイトをも超えるヒーローになってやる。

俺は、そんな偉大な男だ。

だからクラス替えなんてどーでも良いんだ、どーでも。



***



「では二年生までの文法を使って、隣の席の生徒と英会話をしてみましょう!」

センセーの発言に俺は溜め息を吐いた。

「(かったりィ)」

どこにンなクソ面倒くせェことする必要があんだ。

英会話っつーのは自分より上のレベルか、ネイティブと話して上達するもんだろーが。

雄英の模試判定"A"のこの俺と同レベル、もしくは上のヤツがこのクラスに居る訳が無ェ。

「自己紹介等の簡単な会話から始めましょうか!さぁさぁ皆さん、Let's try〜!!」

雄英に行くには学力だけじゃなく内申点も稼いでおく必要がある。

ここで問題を起こす訳にはいかねェし、適当にやるしかねェな。

「チッ…」

『あの…爆豪くん、だよね?』

「あ゙?」

声のした方…俺の左隣の席へ目を遣った俺は一瞬、その場で固まった。

数週間前に桜の木の下で見た女がそこに居たからだ。

『私、ゆでたまご。よろしくね』

笑いながらこちらを見る女。

窓の外では桜が舞っていた。

「…」

心臓が跳ねた。

何だこれ。

気色ワリィ感覚だな。

『…?』

女は何も言わない俺に対して不思議そうにしている。

「…、」

何か話せ、何か。

「…そう言うんを英語で話せってんだよ低脳間抜け人間が。さっきの話聞いてなかったんか、あァ?」

俺の口から出たのは皮肉たっぷりのセリフだった。

女はそれを聞いて驚いたように目を見開いている。

『え…あぁそっか、なんかごめん…』

「謝んなようっぜェなァ、どーせ謝んならハナッから喋んなっつーの!」

『…』

ケッと吐き捨てるように言ってやれば、女は俯いて黙り込んだ。

僅かに、ふるふると肩が震えている。

「ハァ〜?これくらいで泣くんか?女は泣きゃぁ何とかなると思ってるからなァ、鬱陶しいったらねーわ!」

鼻で笑いながらそう言ってやる。

すると、女は俯いていた顔を上げて笑顔で一言。



Fuck(※ふざけんな)



"にっこり"と聞こえてきそうなくらいの笑顔。

ただ、それが余計に…

「…っんだとテメェコラムカつくなァァア!!」

『なっ!?ちょっ…』
 
ガタンと席を立って掴みかかろうとすれば。

「Stop!やめなさい二人共、これからが大事な時期なんですから!内申点に響いてきますよ!」

「チッ!」

センセーが止めに入って来やがった。

"その言葉"を口にすりゃあ何とかなると思ってんのもうぜェが、今はそれよりも…

「…」

『…』

この女が一ッッッ番、うっぜェ!!



***爆豪視点終了
 
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