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***爆豪視点



あれは中学二年の春だった。

明日から春休みが始まる。

そしてこの春休みが明けたら俺達は三年生になるのだ。

「勝己〜!終業式も終わったことだし、今からゲーセン行こうぜ!」

「この前のガンシューティングゲームのリベンジだリベンジっ!」

終業式を終えて帰ろうとしていると、ワイワイとツレが俺に纏わり付いてくる。

「あァ!?テメェふざけんなよ、何回同じゲームやらせる気だコラ」

「だって勝ちてーんだもん!」

「まーまーいいじゃん!負けたヤツがゲーセン代奢るってことで!」

俺とツレ共は言い合いながらも、校舎から校門まで足を進めた。

「…ハッ!ザコが何十人掛かって来ようが何百回挑んで来ようが、俺の勝ちは揺るがねェ!!」

「「(うわぁ強気…)」」

何だかんだ言いながら行き先をゲーセンに決めた俺達。

学校を出ようとした、その時。

『…』

「!」

俺はとあるモノに目を奪われた。

正確には体育館の隣…

桜の木の下に居る女子生徒に。



***



桜の木の下で、何かの武術だろうか…構えのポーズを取っていたあの女。

春の風と散りゆく桜の花びらの中で見たあの女は、何と言うか…

「(綺麗だった)」



Bang!!



「うぉっ」

大きな音がしてハッとする。

俺の目の前の画面には"GAME OVER"の文字。

「「うわぁああ!!勝己が負けたぁぁあ!!?」」

「うぅるっせんだよ黙れ!!」

俺を囲んで勝手に盛り上がられてイライラが募る。

「チッ…」

「何だァ勝己?なんか調子悪ィな」

「何でも良いけど今日は勝己の奢りだかんな〜!」

「っせぇな分かっとるわ!!」

チラチラと脳裏に焼き付いて離れないあの姿。

今日で二年生も終わり来月からは三年生になると言うのに、俺はあの女を知らねェ。

他クラスのヤツだろうか。

もしくは年上だろうか、年下だろうか。

「(ま、どーでもいいけどな)」

心の中でそう呟いたものの、春休みのこの数週間…

あの女のことを考えない日は無かった。
 
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