Middle

□02
4ページ/4ページ




「…」

『…』

謙也さんが部屋を出て数分。

まだ謙也さんが帰って来る気配はあらへん。

ちなみにたまごさんはまだ雑誌に夢中や。

ベッドに仰向けになって、雑誌を掲げて読んどる。

「たまごさん、ゲームします?」

『んんー、忍足くん帰って来てからみんなでやろや!』

「なんか食います?」

『忍足くんのアイス待っとくわ』

「ケータイ鳴ってますよ」

『忍足くんのケータイや』

「…」

なんか、イライラしてきたわ。

何でも忍足くん忍足くん言いよって…!

「たまごさん」

『なんっ…うわっ!』

俺はたまごさんの上に馬乗りになり、雑誌を取り上げた。

たまごさんは驚いとる。

「謙也さんの話ばっか、せんといてもらえます?」

『ひ、光くん?』

顔の横に手をつくと、さらに驚いた表情を見せられた。

あかん、止まれ俺…

「今アンタの目の前におるんは俺やろ」

相手はドンキーやぞ…

『え…ちょ、光くん…』

もし謙也さんが帰って来たら…

「…好きや、たまごさん」

そう呟いて、顔を近付ける。

俺には我慢はでけへんみたいや。

そして視界がたまごさんでいっぱいになった時。



ゴツッ



「〜っ…!」

頭突きをされた。

『光くんのあほ…』

さらにはあほ言われた。

腹立つけど、言い返してやりたいけど、黙るしかない。

俺が悪いんやから。



***



あの後すぐに謙也さんは帰って来た。

…正直ヒヤッとした。

たまごさんは謙也さんに対しても俺に対しても、いつもどおりに振る舞っとった。

そっから三人でゲームしてだらだらして、今は帰ることになった二人を見送り中。

『っあ〜遊んだ遊んだ!』

ぐぐぐと背伸びをするたまごさん。

ウチで一時的に預かっとったたまごさんの自転車を謙也さんが押して帰ってあげるみたいや。

「今日はおおきにな、光」

「何もしてへんのになんか疲れた気ぃしますわ」

『なんでやねん』

軽く笑い合った後、謙也さんの"ほな行こか"という声にたまごさんは頷く。

「ほな!光、また明日の朝練でな!」

「うーっす」

手を振る謙也さんに手を軽く振り返す。

ちらりとたまごさんを見ると、目が合うた。

『また遊ぼうな!』

ニッと笑顔を向けてくるたまごさんに、俺は赤面することしかできひんかった。



おわり。



***あとがき

ストーカー事件の数日後のお話です。
実らぬ恋に悩まされる財前くんでした。
謙也は相変わらずあほ。

ゲームに詳しくない方には申し訳ないネタが多々あります…
申し訳ないです…が!
これを機に、ゲームをやってみてはいかがでしょうか。
そうすればネタが分かるはず…!



とこたん。
 
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ