Middle

□01
3ページ/5ページ




作戦はこうだ。

ここに、遊園地のチケットを4枚用意してある。

1枚目はたまごちゃん、2枚目は千夏、3枚目は金髪アルバイト、4枚目はチャラ男に。

作戦を練る間に、たまごちゃんはまた別の男…チャラ男とも仲良くなったらしい。

腹が立つが、この作戦には一人増えたところで関係ない。

この遊園地のチケットをまず、千夏というやつに全部渡して、千夏から遊園地に誘わせる。

たまごちゃんの性格からして、きっとノってくる。

で、当日に俺も遊園地に行く。

そこでいろんな手を使って、金髪アルバイトとチャラ男を見損なわせる。(ここが重要だ)

その場で二人をフッて、たまごちゃんは千夏と二人で帰路につく。

で、一人になったところでたまごちゃんに交際を申し込む。

「完璧だ…!」

突然で少々驚くかもしれないが、今まで何度かたまごちゃんに微笑みかけられているこの俺だ。

俺に対して嫌悪感があれば、まず笑顔は向けてこないだろうからそこは期待していいだろう。

「さっそく作戦決行だ…!」

今たまごちゃんは、金髪アルバイトとチャラ男と一緒に駐輪場でお菓子を広げて話をしている。

俺は普通の客のフリをしてわざとそこに近付く。

『光くん、ナイスや!』

なるほど、チャラ男の名前は光というのか。

まぁ、どうでもいいけどな…!



ドンッ



軽くたまごちゃんにぶつかってみた。

簡単にぐらりと斜めになるたまごちゃんの身体を、肩と腰に手を添えて支える。

『あ、すいません』

たまごちゃんは俺の紳士的行動に見惚れているのか、目を大きくさせている。

「いや、こちらこそ…」

千夏が店内に居ることを確認して、俺は店内へ入っていった。

「いらっしゃいませー!」

「キミ、キミ!」

「はい?」

手招きして千夏を呼び寄せると、俺は遊園地のチケットを見せる。

「これ…知り合いから貰ったんだが行く機会がなくてな…よければ貰ってくれないか?」

「そんな!結構ですよ」

「捨てればいいんだろうけど、捨てるのも勿体無いじゃない気がしてね…」

「いいんですか…?」

「あぁ、友達とでもどうぞ」

おずおずと手を出してチケットを受け取る千夏。

俺は内心でガッツポーズをした。

その後も観察していると、無事に千夏は遊園地に誘うことに成功したらしい。

「ほな4日後、このコンビニの前集合な!」

「『おー!』」

4日後で決定か。

4日後が楽しみだな。
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ