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出会った場所…コンビニに俺が通うのはほぼ毎日のこと。

ただコンビニをうろつくだけじゃ疑われるのは目に見えていた。

だから毎回、普段から食べないお菓子などを購入して、自分なりに怪しまれないように工夫した。

でもいつからか、たまごちゃんと同じ空間に居るだけでは不安になってしまったんだ。

たまごちゃんを一人にして大丈夫か。

変な奴に付き纏われないか。

夜は無事に家まで辿り着けるか。

そんなことを考え始めた俺。

そこから、夜だけはいつもたまごちゃんの背中を見守った。

たまごちゃんはほとんど自転車で移動するから、走って追いかけたよ。

おかげでだいぶ痩せた。

他にも、俺はいろいろ手を尽くした。

コンビニで、学校の鞄をその場に置いておしゃべりに夢中になっている間にケータイを盗み見たり。

家の脱衣場の様子を伺ったり。

一度、無断で家に踏み入れたこともある。

子供を入学させるか迷っている、と嘘をついてたまごちゃんの学校を見に行ったこともある。

仕事も疎かになり、四六時中たまごちゃんのことを考えていた。

笑顔が可愛いたまごちゃん。

「彼女の存在を見守っているだけで、俺は幸せだ…」

ところがとある日、そんなたまごちゃんに変化が起きた。

その日もたまごちゃんの後を付けていた俺はすぐに異変に気付いた。

"とりあえず退いてください"

"す!すいませんっほんますいません!"

金髪のアルバイトの顔を見て、少し顔を赤らめている。

なんだあの表情は。

俺には見せたことない表情だ。

あのままではたまごちゃんが危ない。

騙されてどこかへ連れて行かれてしまう。

どこのどいつかも分からない奴なのに…!

「…っ」

なんとかしてたまごちゃんを手に入れたい。

たまごちゃんを守らなければ。

俺は金髪アルバイトにひどく嫉妬した。

「仕方ない…」

ふと、たまごちゃんと仲の良いアルバイト女性店員の存在を思い出す。

「…アイツを利用して、たまごちゃんを助け出してやる…!」

その頃から、俺はとある作戦を練り始めた。
 
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