テニプリ

□素直になれなくて
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『はぁ…』

近くの公園にあるベンチに腰掛けて、ため息をつく。

「たまごさん、これ…どうぞ」

隣に座っている裕太くんは私にジュースを渡した。

『いいの?』

「はい、いつものクッキーのお礼です」

『ありがとう!』

裕太くんからジュースを受け取って飲む。

『裕太くん…』

「何ですか?」

ふと私は裕太くんの名前を呼ぶ。

裕太くんも返事をする。

『私って…やっぱ駄目なのかな?』

恋愛面で。

と心の中で付け足すと、裕太くんはそれを悟ったようだった。

「そうですね…やっぱり意地張りすぎですね」



グサッ



「毎回思ってもないことを言って、兄貴を傷付けてます!」



ズバッ



「この調子じゃ、誰かに先越されちまいますよ?」



バシュッ



「…兄貴はただでさえ『あーっこのジュース最高!』」

裕太くんのセリフに被せて叫ぶ。

『なんて美味しいんだろう〜!どこで作られたんだろう〜!』

裕太くん、頼むからそんな大きな声で話さないで!

なんて思いながら無駄に叫んでいると

「どんな味?僕にも飲ませてほしいな」

『えぇどうぞ…ってうひゃぁぁぁぁぁあ!!』

何気なく会話に入ってきたのは、話題の張本人…不二くん。

不二くんはいつの間にか、私の隣に腰掛けていた。

………ん?

゙私の隣に腰掛けていた。゙?

私の隣=裕太くんの居たところ。

…あれっ?

裕太くんがいない←

『…』

え、なんで裕太くんがいなくなってるの!?

で、なんで不二くんがいるの!?

ちょっと待って、タンマタンマタンマ。

一回落ち着こう。

そうだ、深呼吸しよう。

はい、吸ってー、吐いてー。

もう一回、吸ってー、吐いてー。

ふぅ…。

もう大丈夫。

…不二裕太=不二周助だったんだ…。

(※違います。)

「たまご…?」

固まったまま動かない私を見て、不二くんは顔を覗き込んでくる。

「大丈夫?寒い?」

不二くんはそう言ってさりげなく距離を詰めてくる。

『ちょっと…!』

「人肌が恋しくなる時期もあるからね」

そう言ってさらに肩を抱いてくる不二くんに

今真夏だよ

私がそう答えると、不二くんは楽しそうに笑った。
 
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