Resonance

□09
18ページ/18ページ




イリアとタマゴの部屋までやって来たオレは、静かに部屋に入る。

「ぐ〜…ぐ〜…」

イリアはもうすっかり爆睡しているようだ。

コイツもコイツでいろいろ疲れているんだろう。

オレはタマゴを自分の腕から下ろし、空いた布団にゆっくりと寝かせた。

「(タマゴが転生者である可能性…)」

さっきは無理矢理ルカの話を切り上げちまったが、その可能性はゼロではない。

…考えてみれば、そうだ。

タマゴは初めから、普通の人間を超越した銃の腕を持っていた。

オレ達みたいに炎や雷を纏うような明らかな異能ではないが、その腕は本当に際立っている。

もしかしたら本当にタマゴは…

「(………いや、ないな。オレがタマゴを忘れるはずねェ)」

そう考えながら、掛け布団をタマゴに掛けようとしたその時。

「!」

オレは思わず目を見開いた。

「(タマゴの…谷間が…!!)」

浴衣が着崩れたせいでタマゴの谷間が見えてる!!

それまで考えていたことなんて一瞬で忘れるくらいの衝撃だった。

「ゴクッ…」

オレは目の前の絶景に喉を鳴らした。

「(な、なんつー破壊力だよ…!やべぇ、もうソコにしか目が行かねェ…どんな下着着けてんだ?つーか一切 下着見えねェな…ん…?待てよ、もしかして…)」

タマゴ、下着着けてねェんじゃ…?

さっき海水を被った時だって全然下着透けてなかったし…

むしろ肌の色しか見えてなかったような…

「(いやいや!まさか…んなワケねーよな!)」

宿までおぶった時だってタマゴは普通な様子だったし…いや、普通じゃなかったか。

おぶる前はむしろ見られないように、オレの後方を歩くように努めていた。

「(嘘だ…何かの間違いだと言ってくれ…!)」

じゃねぇと、ほぼ裸のタマゴの身体に触れてたってことになっちまう。

そんなの、そんなの…!!

オレの息子がヤベェ…!

「(そうだ、ちょっとだけ確認すりゃ良いんだ。ちょっとだけ…)」

オレはタマゴの胸元に手を伸ばす…

が、ピタリと動きを止めた。

「…」

ドクドクと心臓が大きな音を鳴らす。

この浴衣を捲った先には…タマゴの下着か、もしくはタマゴの…胸が…。

捲るのは簡単だ。

本当に一瞬で終わる。

大丈夫…そう、事実を確認するだけだ。

「すぅ、はぁ………よしっ」

オレは深呼吸をし、



バキッ



自分で自分の頬を殴った。


「…いってェ〜…!!」

危ねえ危ねえ、こうでもしねーとマジで襲っちまうところだった。

『すぅ…』

「チッ、呑気な顔しやがって」

オレは小さく舌打ちをし、布団をタマゴに被せて部屋を出たのだった。




(タマゴ、おはよ〜…ふわぁあ)
(イリアおはよう!…あれ、いつの間に私 部屋に戻って来たんだろ…)
 
次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ