Resonance

□06
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『忘れ物ない〜?』

「あァ!」

私は自宅の玄関にしっかりと鍵を掛けた。

貴重品は金庫に入れたし戸締まりもしっかりしたし、これで大丈夫だ。

「コーヒーありがとな、また今度何か買ってやるよ!」

『ふふ、楽しみにしてるね』

よし、なんとかいつも通り話せているはず。

スパーダも特に気にしていないみたいだし。

「よし、じゃあ早速行こうぜ。オレ等の担当は街の中心部だったよな」

『うん、行こっか!』

私達は並んで歩き始めた。

「…」

『…』

あぁ、やっぱりちょっと気まずいかも。

今までどんな話してたっけ、なんて頭の中で考える。

さっきルカが、"イリアと何と話せば良いのか分からない"と悩んでた気持ちが身に沁みてよく分かった。

「タマゴってよ…」

『ん?』

スパーダがこちらを見たその時。

「見つけたぞ」

背後から声が掛かった。

『!』

「しまった!逃げっ…」

「待て」

スパーダと私が逃げ出そうとするも、ガッチリと首根っこを掴まれてしまう。

スパーダと共に振り返ると、そこに居たのは…

「なぜ突然逃げ出す?」

「コーダには理解出来ないんだな しかし!」

リカルドとコーダだった。

『り…リカルド…!それにコーダも…!』

「ンだよ捕まったと思ったじゃねーか!紛らわしい言い方すんなよ…!」

「お前達が勝手に勘違いしただけだろう」

ほっと安堵の溜め息をつく私と文句を言うスパーダ。

そんな私達にリカルドはやれやれと首を振っていた。

『ていうかリカルド達はどうしてここに?工業区の方に向かったんじゃ…』

「それは…」

「ホットドッグ食いたくなったんだな しかし!美味かったぞ、しかし!」

『あぁ〜…』

飛び跳ねるコーダを見て私は察した。

リカルドは私達とペアを交換した後、工業区に向かおうとしたけれど、食欲旺盛なコーダによってこの辺りに引き止められていた…というところだろう。

結局奢らされたんだな…

「ここに居てもどうにもならん。とりあえずさっきの下水道へ行こう」

「だな!ルカ達が何か見つけてるかもしんねェし!」

スパーダの声に頷き、私達は工業区の下水道へと向かった。



(平常心、平常心…!)
 
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