Resonance
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「そう言えば、リカルドさんのこと詳しくお聞きしてませんでしたね」
ふとアンジュがリカルドを見つめながら言う。
「名前は知っているな?そして俺は傭兵だ、それで充分だと思うが?」
リカルドは素っ気無くそう言った。
うーん、リカルドはあんまり人と話したくないのかな…?
「これから一緒に旅するんだから、もっといろいろ聞いておいた方が良いと思うんだけど…」
「かもしれんな」
ルカの言葉に、どこか他人事のように言うリカルド。
「だが全員の名は覚えたぞ」
「え…もう?」
リカルドの話にルカは驚き声を上げた。
「お前がルカ・ミルダ。雇い主はアンジュ・セレーナ。あの娘がイリア・アニーミ。あのガキがスパーダ・ベルフォルマ。彼女がタマゴ・カステラ。彼はコンウェイ・タウ。そしてあの生き物がコーダだったな。これで問題無かろう?」
話を切り上げようとするリカルドに、ルカが突っ込んだ。
「…もしかして照れてるの?」
「まぁそういうことだ。仕事柄、他人に深く個人的事情を知られるのに慣れていないからな」
何の気なく淡々と言うリカルド。
なるほど、人と話したくない訳じゃなくて…
人との接し方が分からない、と言ったところだろうか。
人と話したくない訳じゃないならこれから仲良くやっていけるかもしれない。
「うーん…確かに十も歳の違う子供相手に打ち解けるのって、時間が掛かるのかもしれないね」
「そうね、時間が解決してくれるまで待ちましょうか。ではこれからよろしくお願いしますね、リカルドさん」
「あぁ、よろしく頼む」
リカルドは表情を変えずに頷いた。
***
ナーオス基地内をぐるぐると歩き回り、なんとか脱出することが出来た。
「ふぅ…やっと出られたね」
『ほんとだね…外の空気が気持ち良い〜…』
軽く伸びをするルカと私の隣で、アンジュは沈んだ顔をしていた。
「…」
「大丈夫、アンジュ?少し顔色悪いみたいだけど」
「平気よ?ずっと身体を動かしてなかったから、急に身体を動かすと辛いみたい」
「じゃあハルトマンの家で休ませなきゃな。悪いけどナーオスまで辛抱してくれよ」
一時の休息まであと少し。
私達は聖都ナーオスを目指して歩き始めた。
(聖女様の奪還、成功!)