テイルズ・イナイレ

□変態も苦労するのです
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嫌だ。

嫌だ。

『嫌だ…!』

気付くと私は走って



どんっ



「おぶっ!!?」

ゼロスへと正面からタックルし
仰向けに倒れたゼロスの上に跨がり
驚いているゼロスの胸ぐらを掴み、キスをした。

一瞬、時が止まる。

あぁ、やってしまった。

『やだ、やだよゼロス!いつも私、ゼロスの、こと、見てて…、ひっく…』

あぁ、泣くなんてずるい。

それに、よく考えればこんなの最低の行動じゃないか。

しいな、ごめんなさい。

ゼロス、ごめんなさい。

頭ではそう思うのに、口が止まらない。

『ぐす、…あた、し、ゼロスの…こと、大好き…だからっ』

ゼロスはそこまで言うと私の額にキスをする。

そして、意地悪そうな顔で笑った。

「はーい、よくできました!」

そのままの体制で頭を撫でられる。

『え…?』

と私が言うのと同時に、少し離れたところからみんなが出てくる。

コレットにプレセア、しいな。

みんな、微笑んでいる。

『な、に…?』

「…たまごちゃんヤキモチやいただろ?」

『なっ!や、やいてない!』

「まったく…素直じゃないんだから、俺さまの姫は」

そう言いながら、私に敷かれているゼロスは私の頬に手を伸ばす。

「全部、俺さまの作戦だったってわけよ」

そう言って、私の涙を拭った自分の指を舐める。

『全部…?』

私はしいな達の方を見る。

「騙しちゃってごめんね…?」

「ごめんなさい…」

「その…悪かったねぇ」

謝ってきたのは上から順に、コレット、プレセア、しいな。

「まぁ、たまごちゃんがヤキモチやいてくれるように俺さまいろいろと頑張ったんだぜ〜?考えるのだいぶ時間かかって苦労したし…」

『…』

「てか、さっきの゙大好きだからっ…゙って、俺さま超キュンキュンしたんだけど!やっぱ苦労した甲斐があったわー」

『…っ』

「…それよりさ…この体制、もしかして俺さまのこと誘ってたりする〜…?」

そう言いながらも、私の腰に手を滑らせてくる。

「なぁ、どうなの?たまごちゃーん?」

私は四つん這いでゼロスを押し倒している状態だ。

でも、今はそんなことどうでもいい。

ニヤニヤとした笑いを浮かべるゼロスに

『このっ…変態セクハラ馬鹿ロン毛ー!!

そう怒鳴って、全力でゼロスの股を蹴った。

その晩、ゼロスの悲鳴が空に響き渡ったらしい。



変態も苦労するのです
(結果的にはよかったんじゃないかねぇ)
(そうですね)



***
あとがき

胸ぐらを掴んでキスするシーンが書きたかっただけ←
 
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