Resonance

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しばらく歩いていると…

「ルカくん!タマゴちゃん!」

聞き覚えのある声が後ろから掛かり、振り返る。

『チトセ!』

転生者研究所で一緒の部屋に居た、チトセがこちらに向かって小さく手を振っているのが見えた。

「大丈夫?二人とも、怪我は無い?」

「チトセさん…だ…大丈夫だよ!まだ戦闘もしてないし」

『うん、大丈夫。ありがとうチトセ!』

「そうなの?あぁ良かった、無事で」

ほっとした様子のチトセ。

そこで、先に進んでいたはずのイリアとスパーダが戻って来た。

「アンタ、どうしてここに居んのよ?」

「…さあ?貴女には関係無いと思うんだけど」

心底嫌そうな顔をするイリアと、嫌味っぽく言うチトセ。

一瞬にして、ピリッと嫌な空気が張り詰めた。

「"さあ?"って何よ!なにアンタすっとぼけてんのよ!」

『ま、まぁまぁイリア、落ち着いて!』

チトセに掴みかかりそうな勢いのイリアを私が宥め、すかさずルカがチトセに話を振る。

「えぇっと!チトセさんは教団に入信したんだよね?」

「そうなの。それで教団の奉仕活動の一環として、ここで衛生兵を務めることになったの」

「へぇ、頑張ってるんだね」

「ふふふ、でも私も到着したばかりでまだまだこれからなの。でも…ルカくんの傍に居られるなんて嬉しい」

なんだかチトセがルカを見る目に熱がこもっているような気がする。

なんだろう。

チトセはルカのこと、好きなのかな?

「だったら最初から奉仕活動だって言えばいいじゃない、何が"さあ?"よ!アンタ、ムカつく…モガモガ!」

「タマゴも。こっちだ!」

『えっ!』

スパーダは片手でイリアの口を塞ぎ、もう片手で私の手を引いた。

そのまま少し離れた所に連れて行かれる。

「何すんのよ!アンタあの女の味方なの?アタシの敵?敵なのね?」

「だ〜ッ!!黙ってろよ!ルカの野郎、良い雰囲気だろ?」

『うん、それは私もちょっと感じてた…!』

「だろォ?そっとしとこうぜ!」

「ふんだ…」

イリアはプイッとそっぽを向いてしまう。

怒っているイリアには悪いけど、可愛いなぁなんて思った。

「でも、貴方ならどんな戦場でも大丈夫。だって貴方は強いんですもの」

「ぼ…僕が強い?そんなことないよ」

「いいえ、私は知っているわ。貴方は強い…必ず生き残る。何があっても」

「そう…なのかな?じゃあ僕も自分の力を信じてみるよ」

「でも、油断しないで?転生者には、前世で貴方に敵対していたラティオ軍の者も居るから。中には、凄く強い転生者も居るかも…」

チトセがルカを心配そうに見つめている。

やっぱり彼女はルカのことが好きなのだろう。

私はチトセの気持ちを確信した。

「もし勝てそうにない時は、貴方だけでも逃げてちょうだいね」

「ありがとう、気を付けるよ」

「なによッ!ソレ!!アタシ達を見捨てて逃げろっての!?アイツもお礼言ってんじゃないわよ!」

イリアはチトセにもルカにも腹を立てているようだった。
 
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