GO-ON!!

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***切島視点



大学病院を退院し、寮に帰って来た俺達。

みんなはそんな俺達を温かく迎えてくれた。

「わぁぁあん!!生きてて良かったぁ!たまごちゃぁああんっ…」

『うん…ありがとうっ…』

たまごと葉隠が、少し離れたところで抱き合っているのが見える。

たまごの辛そうな表情が目に入り、胸を突き刺すような痛みが俺を襲う。



"なんでたまごがこんな目に。"



気付けばそんなことばかり考えていた。

俺はぼんやりとたまごを眺める。

何だろうな、たまごの腹部に穴が空いているのを見てからというもの、あまり物を考えられなくなっている。

…参ったな。

「おォイ切島〜!」

ぼんやりしていると瀬呂がこちらへとやって来た。

「何で言ってくんなかったんだよ!俺達もー仰天だったよ!」

「わりィ、カンコーレーしかれてたんだよ」

肩を組まれ、コイツなりの気遣いや優しさを感じる。

すると、

「切島…」

芦戸もこちらを見ていた。

「…」

「大丈夫?」



"たまごのこと。"



芦戸は声には出さなかったが、俺にはしっかりと伝わった。

他のヤツから見ても分かるくらいには、俺がたまごのことで思い詰めているのが表情に出てたらしい。

もっと強くならねェと。

たまごを救けられるようにならねェと。

「…まだまだだわ」

「そっか」

芦戸はそれ以上何も言わなかった。

たまごのことになると俺は無我夢中になっちまって、他には何も考えられなくなるんだ。



***切島視点終了



「…」

『ん…?』

少し離れたところから、何やら視線を感じる。

『?』

顔を上げると、爆豪くんがソファに座りながらこちらを見ていた。

「『!』」

バチッと目が合う。

「…、」

爆豪くんが何かを言おうと口を開いたその時。

「おーいかっちゃん!」

上鳴くんが爆豪くんの元へとやって来た。

それによって爆豪くんは口を閉ざしてしまう。

「何を不貞腐れてんだ、心配だったから広間(ここ)居んだろ!?なァ!?素直になれって!」

ひょいっと爆豪くんの隣に飛び乗ろうとする上鳴くんを華麗に躱し、爆豪くんは席を立った。

「寝る」

「えー早くね!?老人かよ!」

そして爆豪くんはこちらに向かってずんずんと歩いてくる。

「ゆで」

すれ違いざまに小さな声で声を掛けられる。

「…明日 夜ツラ貸せや」

『え、あ…』

何を言うより先に、爆豪くんはスタスタと歩き出す。

「一言くらいかけたら?」

尾白くん達には今の小さなやり取りが聞こえなかったのだろうか、爆豪くんに何やら物申している。

「てめーらと違ってヒマじゃねンだ」

「緑谷、麗日、切島、蛙吹、ゆで…わりィが俺も」

「えー早くね!?老人かよ!」

二人は上鳴くんの言葉に返事をせず、部屋へと戻って行ってしまった。

「…爆豪ちゃんはともかく、轟ちゃんまでどうしたのかしら…」

「あいつら明日、仮免の講習なんだ。にしても早いけど…」

『そっかぁ…』

梅雨ちゃん、響香ちゃんのやり取りに私達は相槌を打った。

『じゃあ、みんなで応援しないとね!』

そう言った私に、みんなは微笑んでくれた。
 
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