Resonance
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「みんなおはよ〜!」
『おはよ〜』
「あ〜…アタシはまだ眠いわ…」
朝、みんなは既に集合場所に集まっていた。
「あれ?タマゴ姉ちゃん、いつもの服に戻っとるやん!」
言いながらハグをしてくるエルを抱き止めながら私は彼女の頭を撫でた。
『うん!この辺りは海辺で風がよく吹くからかな、起きたら乾いてたんだ』
コンウェイに頂いた袴はしっかりとしまってある。
『特に汚れてもないし、武器もいつもの位置にある方が扱いやすいしね』
昨日腰から下げていたホルスターは、またベルトを調整していつも通り太ももに固定している。
「…」
スパーダはなんとなくほっとした顔をしていた。
「よっしゃ、ほな行こか!」
私達は王墓へ向かうべく歩き始めた。
***
私の前方では、ルカとイリアが前方で何やら言い合いをしている。
話題はチトセのことらしい。
「イリアはチト…チトホニャララさんのこと意識し過ぎなんじゃないの!?」
「はて?ワタクシ"チトホニャララさん"のことなんて意識しておりましたっけかしら〜?」
「もういいよ…」
珍しくルカからイリアの元を離れて行った。
そんなルカを特に追うでもなく、イリアは鼻を鳴らしている。
「フンだ!なによ!勝手に怒っちゃってさ!」
昨日の夜二人で話し合ったんだから、すっかり仲直りしたんだと思ってた。
チトセが絡むとイリアは余計に素直になれないみたいだ。
「どう考えても怒っとるのんはイリア姉ちゃんの方やんか…」
「やれやれ、ホントそうだよね。ねぇこれからしばらくボク達あれに付き合わないといけないのかな?」
「付き合うたらなあなんのんちゃう?ちゅう逆に楽しむくらいやないとな!」
「キミは小さいのにそういうところは本当に前向きだなぁ」
『た、楽しむって…私は不安だなぁ』
私の隣では、エルとコンウェイがイリアの背中を見て溜め息をついていた。
***
さて、早速王墓へとやって来た。
昨日と同じく男性が二人、王墓の入り口に立っている。
「ジロチョウ様よりお話は聞いておりまする!ささ、皆の衆!お通りなされい あ お通りなされいぃい!」
「現国王のジロチョウ様から直々に許可を頂いたのであれば我等に足止めするいわれはありませぬ。ささ、お通り下され」
二人はサッと壁際に寄って道を開けてくれた。
『ありがとうございます』
「現国王って…へぇ、あのジロチョウさんってこの国の王様だったんだ…」
私達はお墓の中へ進む。
「うっわ、広っ!ただのお墓でしょここ?何でこんなに広いのよ」
イリアの言う通り、この空間はとても広いものだった。
ずぅっと奥の方まで階段が続いており、その先は見えない。
『とりあえず行こっか』
私達はぞろぞろと階段を降りていく。
「王様のお墓なら大きくて当たり前じゃないかな」
「そうね。権力者がお墓を造るのは、自分の権力を見せるための示威行為だから。もっとも、ここは神殿としての意味合いも兼ねているようだけど」
「なら、ここにもまた祭壇と共に目当ての物…記憶の場があるということか」
「その可能性は高いと思います。天上界信仰の祭事を執り行っていた祭壇がどこかに必ずあるはずです。もし記憶の場があるとすれば、その側でしょうね」
アンジュとリカルドの話を聞きながら、へぇ〜なんて相槌を打つ。
その時、エルが頭を抱え始めた。
「あ〜…それにしてもウチ、なんかちょっと息苦しいわ」
「ここまで階段で随分降りて来たからね。この辺りだともう海の底って感じかな」
「はぁ…そんなん聞かされたら余計気が滅入るわ…」
悪気があるのかないのかは不明だが、コンウェイがエルに追い打ちをかけている。
私はその隣で苦笑した。