SHORT

□0.0mmの体温
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「青峰くん!」

「なんだよ?」





私の大好きな彼氏の青峰くん


クラスが一緒で、席も隣

よく青峰くんが忘れ物するから教科書とか見せてたらいつのまにか仲良くなってた

それで、明日遊ぼうぜ、みたいなノリで告白される

休み時間話してたらサラッと自然に

生まれて初めて告白された私としては、衝撃的な告白だった

近くにいた黒子くんも目を点にしてたし

そんな青峰くんからの告白に、ちょっとスケベなところとかバカなところもあるけど結局惹かれてた私は取れるかと思うくらい首を縦に振って返事をした

その数秒後青峰くんの突然の大声で私たちはすごく脚光を浴びることになる


バスケをしてる青峰くんも好きだ

あんまりバスケを知らない私でも青峰くんがスゴいってことぐらいは分かる

シュートを決めた後の笑顔とか、その前の真剣な表情とか

とってもキラキラして見えた

真剣な表情なんて普段は見れないからすごくレアかもしれない

見てるこっちまで笑顔になれる



でも私の一番の悩みの原因はそのバスケ

青峰くんはバスケバカだ

頭の中はたぶん50%バスケのことだと思う
(あとの50%はエロいこと)

もしかしたらそれ以上かもしれない


そんな感じだから、よく青峰くんはデートをすっぽかす

理由はいろいろ

《バスケしてたら忘れてた》
《バスケで疲れて寝てた》


それとかデートも、スポーツショップに行ったり、ストリートコートに行ったりとかばっかり


そりゃさっきも言ったとおり青峰くんがバスケしてるところを見るのもバスケを話すときの笑顔も好き

けどさすがに泣きそうになるのも事実

バスケにまで嫉妬をしちゃう私は自分でもバカだと思う

心が狭いとかうっとうしい彼女だって思われちゃうかもしれないけど仕方ないじゃないか

私のことホントに好きなのかなって不安になるときも少なくない


そんな私の頭の中に浮かんだ1つの疑問



  バスケと私、どっちが好きなんだろう


子供みたいだって自分でちゃんと分かってるけど、私とバスケを選べって言われたら迷わず青峰くんならバスケを選びそう

あ、自分で言ってて悲しくなってきた


今だってそうだ

久しぶりのデートだって言うのにストリートコートでずっとバスケしてるだけ

今で何時間だと思ってるんだよ


気がついた時には青峰くんの名前を呼んでた





「…私とバスケ、どっちの方が好き?」

「どうしたんだよいきなり」

「いいからいいから!」

「ん"ー……、バスケ?」





 プツーン




私の中でなにかが切れた音がした

やばい、涙出てきそう

分かってたけどさすがにキツい

そこは期待を裏切ってほしかった

バスケに負ける私ってなに?

すごく惨めな気分





「…そう、だよね………!ごめん今日は帰る」

「!!ちょっ!待てよ!!!」





もうその場にいるのも嫌になって駆け出す

涙が溢れてきた


けど運動音痴な私が逃げられる筈がなくて、すぐに捕まえられる

青峰くんの顔がまっすぐ見れない





「急にどうしたんだよ。つかなに泣いてんの」

「私のことなんて、好きじゃないんでしょッ…!!?」

「はぁ?」

「いつもバスケばっかりだし、そんなにバスケが好きならバスケと結婚しちゃえばいいじゃん!!!」

「とりあえず落ち着けって、」

「落ち着けるわけないでしょ!?もうほっといてよ!!!」





我ながら最悪だと思う

勝手にキレて、迷惑以外この上ない


俯いてたら上からため息

フられちゃうな

最初の彼氏が青峰くんで良かった





「…バッカじゃねーの?」

「は、」

「なまえを嫌いとか俺言ってねーし」

「でもバスケの方が好きって、!!」

「なまえは好きじゃなくて愛してるだし。そらバスケ好きだけど、俺たちでいう《らいく》じゃなくて《らぶ》なんだっての」

「!あいっ!?」

「だから泣くなって。俺、俺がバスケしてるとこ見てるなまえの笑顔が好きなんだよ。なまえに泣き顔は似合わねーから泣き止め」

「あお、みねくん………」





手に持ってたタオルで私の目元を擦る青峰くん

なんだか余計に涙が出てきた

どうやら私の方がバカだったらしい





「……でもデートとかの件は悪ぃ。次から、気をつける」

「うっ、うん、」

「あ"ー!泣き止めって!!!」

「涙とまんなっ、!」

「止めろ、蓋しろ」

「無理だって!」

「…仕方ねーなあ」

「え?」





急に頭を抑えられたと思ったら、青峰くんの顔が近づいてきて、気がついたら距離は0cm

唇に少しカサカサした感触

それから青峰くんがゆっくりと離れていった

スローモーションに感じる





「ほら、泣き止んだじゃねーか」





少し意地悪そうに笑う青峰くんに、もう逃げられないなって思った
































0.0mmの体温

(なんならもっかいやっとくか?)
(!!いやいいです!!!!)
(…………)











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