SHORT

□恋は盲目なんて言うけれど
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次の日、僕は無意識にソワソワしながら部活に向かってた

部活に行けば、皆もソワソワしてるように見える

桃井さんは特にだ

黄瀬くんは今正門まで迎えに行ってるらしい





「なまえちゃんと2ショット撮ってもらえるかな………?!」

「なまえさんなら大丈夫でしょう」

「!そう、だよね!!」

「…どうせ周りにちやほやされて女王様気分にでもなってんだろ?そんな奴見て何が嬉しいんだかな」

「大ちゃん!!なまえちゃんのこと悪く言わないで!!」

「ハッ、」


「連れてきたッスよー!」





声の方を向けば黄瀬くんと、テレビの中と変わらないなまえさんがいた

綺麗な黒髪が太陽の光でキラキラ輝いてる

さすがシャンプーのCMに出るくらいだな、って思った

黄瀬くんの後ろで恥ずかしそうに立ってるなまえさん

悔しいけれどお似合いだなって実感

練習連れてくるくらいだし黄瀬くんも満更じゃないだろうし





「なまえっち、自己紹介できる?」

「うっ、うん……!涼くんと同じ事務所のなまえです!お忙しいなかすみません、今日はよろしくお願いします!!」





テレビで見たなまえさんは頼れる姉さんっぽいけど、実際どちらかといえば妹みたいだ

照れながら笑うなまえさんに、ファンじゃなくてもドキドキする





「なまえ、ッさん!私、桃井さつきって言います!あっあの、私、ずっとファンだったんです!!!」

「私のファン?!嬉しいなぁ!ありがとうございます、桃井さん!」

「う、わぁぁああ…………!」

「桃井さん!?」

「大丈夫だよ、ちょっと緊張しすぎてショートしちゃっただけだから。あ、俺紫原敦」

「紫原さんですね!」

「あ、俺は、――…





そんな感じで始まった自己紹介祭り

なまえさんは笑顔で名前を述べていく

もしかして部員、全員の名前覚えたのかな?

さすがとしか言いようがない

僕が行くか迷ってると僕を見つけてなまえさんから来てくれたことに、周りの皆は驚いてた

それは僕の影が薄いからだと思う


そんな時、ものすごいスピードでなにかが通り過ぎていった

なまえさんの周りの男子を押しのけて、驚いてるなまえさんの前に立つ、青

……え?





「あっ青峰大輝だッ……!よよよよろしく、なまえ、さん……!!」

「?はい!よろしくお願いしますね!」





昨日以上に目が点になった


あの青峰くんが褐色の彼の肌でも分かるくらい真っ赤になって、女子を"さん"付けで呼ぶなんて、

さっきまですごく貶してましたよね?

ナルシストとか女王様気分とかいろいろ言ってましたよね?


なぜか心の中なのに敬語でツッコむ

それくらい驚いた

いつもは無表情の僕がそれほどすごい表情してるのか周りの皆が青ざめていくくらい





「ほら、なまえさんは何しにきたと思ってるんだ、練習を見に来たんだろう。各自ストレッチからいつものメニューだ」

「はーい」





赤司くんの一言で場の空気が元に戻って渋々ながら散っていく

黄瀬くんもなまえさんに笑顔を見せて練習に向かう

けど青峰くんだけは動かなかった

なまえさんはそんな青峰くんを不思議そうに見つめる





「青峰、さん……?」

「!!いや、なんでもねー!!!あっ、立ってんのもあれだし椅子出してきてやるよ…!!」

「え、あ、ありがとうございます…!」





なまえさんが笑顔を浮かべれば、肩がピクンと反応した青峰くん

鬼の形相で椅子がある倉庫まで走ってく


…どうやらうちのエースは一目惚れしてしまったらしい

そんな青峰くんをビックリしたような、それでいて少し嫉妬してるような表情で見つめる黄瀬くん

黄瀬くんもやっぱり好きみたいだ


これだから人間観察はやめられない








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