SHORT

□お礼のお礼
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「あ、これとかどう?」

「それならこっちの方が、」





和くんに手を引かれ、来たのはショッピング街

人が多くて、もしかしたら迷子になるかもしれないと不安になりかけた時、和くんが私の心を読んだみたいに私の手を握ってこう言った




『こうしとけば離れないっしょ?』




またドキドキした

顔が赤くなっていくのが分かる

この時ばかりは和くんが見えなくなるくらいたくさんいる人たちに感謝した


和くんが向かってるお店に行く途中話を聞いてると、今日和くんはとてもお世話になった親戚のお姉さんの結婚祝いを買いに来たらしい

俺は男だから何もらったら喜ぶか分かんねーんだよな、とか言いながら手に取って見てる小物は可愛いものばっかり

無意識かは知らないけど、私なんていなくても全然大丈夫だと思う


結局悩んだ末に、和くんが選んだのは淡いピンク色をしたクッションとアクセサリーケース

今それを買いに行ってる和くんを待ってる間、私はお店の中を回ってみてる





「……これ、可愛いな」





アクセサリー売り場で、ふと目に留まったネックレス

赤にとっても近いピンク色をした石が埋め込まれてる





「なまえちゃんの髪の色とはちょっと違うな〜」

「………うわぁっ!!!」

「レジ済ましてきた!」

「あ、おかえりなさい…?」

「『おかえりなさい』っておかしくね?アドバイスありがとう、無事満足できるやつ買えた!」

「それは良かったよ!」

「ちょっと近くの喫茶店行こうぜ?このまま帰るのはおもんないじゃん」

「うん!」





こんな感じでお店をあとにして、ちょうど向かいにあった喫茶店に入った

けど入ってすぐに和くんが俺トイレ行くから先座ってて!とか言いながらお店から出て行った

…トイレなら喫茶店にもあるのにね

ウエイトレスさんに案内してもらって、私は席に座る

5分もしないうちに和くんが帰ってきた





「ごめん!」

「いや気にしないで」

「なまえちゃん何にする?」

「私はケーキセットのココアで。和くんは?」

「俺はコーラとオムライス」

「………幼稚園児?」

「うるせー!てか喫茶店にもキムチがあったらいいのに」

「喫茶店に一体何求めてるの?」

「え?キムチ」

「マジで答えなくてよろしい」

「いやいや、キムチあったら絶対儲かるって!……あ、コーラとオムライスとケーキセットのココア頼むわ!!」





ウエイトレスさんが水とおしぼりをテーブルに置く

和くんが注文すると声を裏返しながら分かりました、と言って厨房の方に走っていった

顔も赤かったし、絶対惚れたな





「私、辛いのは苦手なんだよね」

「人生の9割9分9厘損してる」

「え、そんなに?!」

「もしかしてカレーとかの辛いのもダメ派?」

「月の王子様しか食べれない」

「それ甘口の中の甘口じゃん!!」

「汗かきながら、めっちゃ辛いカレーを食べる人の気が知れないよ」

「なまえちゃんも人のこと言えないくらい幼稚園児みたいじゃね?」

「"も"ってことは自覚あったの?」

「………」

「図星だね」

「…そういやなまえちゃんの同級生どんなん?」

「話をあからさまに変えられた!!」

「俺の同級生……、つーか部活の相棒くんはさ、」

「まさかのスルーされたよ」

「超おは朝信者なのよ」

「私はめざまし派だ」

「あ、俺も。……じゃなくて!!すんげー信者なわけ」

「……いや、私の中学時代のおは朝信者には負けると思うよ」

「絶対俺の相棒くんだって!!」

「だってね、たまたま寝坊して1日おは朝の占い見忘れた日があったんだよ。そしたらいつもはクールな「コーラお持ちしました」が何あるか分かんないって言って、全身鎧甲で学校来た日があったんだから。ありがとう!」

「まだまだだって!ウチの「ケーキセットとココアでございます」はなんか見逃した日が昔1回だけあったからって、目覚まし15個とケータイアラームを駆使して1分毎に鳴るようにしてんだぜ?せんきゅ」

「それ止めるの大変そうだね。てか全部止めるのに、超時間いるでしょ」

「それがさ、止める時の「オムライスです」の腕が8本あるみたいに見えんの!!やっときたな」

「どっかの神様でそんな感じのいたよね、たしか」

「そっちも、鎧甲って、いつの時代だよそれ!!」

「たぶん「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」の中では守り=鎧甲なんだよ。はいそうです!」

「……お互いスゴいのが周りにいるな」

「ホントそれ!世の中に稀にいるかいないかのおは朝信者が知り合いにいる2人が友達なんて、ほぼ奇跡だよね」

「今度逢わせてみる?」

「……うーん、気が向いたら」

「そら残念だ」





久しぶりに思い出した







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