SHORT

□寒いある日とお熱い2人
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「……なまえ先輩、早よ帰りますよ」

「あ、うん!」





校門を出れば、門の所に寄りかかっている光を見つけた

辺りはほぼ真っ暗で、私が声を掛けると光は白い息を吐きながらこちらに歩いてきた





「遅いッスわ、もう帰ろうか思てました」

「それたしか一昨日も聞いたよ」

「……早よ帰りますよ」

「うん!」





後ろからの後輩や同級生たちからの冷やかしの声を無視して私たちはいつもの帰路へと足を向ける


光は私のお隣さん兼彼氏


『どうせ彼氏まだおらんのでしょ?仕方ないから俺がなったりますわ』

ある日の帰り道、普通に言われた

一瞬冗談かと思ったけど、向こうを向いてる光の顔が真っ赤なのを見て本気なんだって分かった


『…ふふ、じゃあこれからよろしくね、彼氏くん』

『!うっうっさいっスわ』


たしか春のことだった





「アンタいつまで部活やるんですか?早よ引退して勉強せなヤバいんとちゃいますん?」

「なんかトランペット吹いてる時が1番安心できるから引退なんてしないよ」

「おい。てかテニス部より終わるん遅い音楽部なんか聞いたことないですわ」

「それがうちの売りだからね」

「は、なんですかそれ」





あぁ、寒いなぁ

今日はマフラーと手袋を忘れたってデジャヴ

手の平にハーって息を吹きかければ、まだマシになった





「……手袋はどうしたんですか」

「今日は忘れちゃった」

「はぁ……」

「そんなため息つかないでよね!」

「…これあげますわ」

「え?」





光がカバンからガサゴソ漁れば、中からおしるこ缶が出てきた

それを私の方を見ずにただ差し出した





「え、おしるこ……?」

「あっ後で自分で飲も思て買ったんスわっ…!仕方ないからあげます」

「あ…ありがとう…!!」

「そう思うんやったら今度は俺に奢ってくださいな」

「うん!」





おしるこを手で包めば、とっても暖かった

でもおしるこを渡すときに見えた手には私をバカにした癖に手袋がなかった

絶対自分用に買ったでしょ





「光、手貸して!」

「?はい」

「これで2人共暖かくなったでしょ?」





光が不思議そうな顔をしながら出した手を繋いで、光の学ランのポケットにおしること一緒に入れる

光の手はやっぱり冷たかった

あー、バカだなぁ





「光もバカじゃん!」

「うっさいッスわ」

「これで暖かいでしょ?」

「………そないですね」

「光はただでさえ体温低いんだからこれ以上冷やしちゃダメだよ」

「人の心配する前にまず自分のこと心配してください」

「あはは、私は光が第一だから!」

「……何言うてるんですか、アホちゃいますん」

「あ、照れた」

「あー手が滑ってもーたー」

「いだだだだっ!!ひょっ、にゃんでしゅべって、ほっぺちゃひっぱりゅの!!」

「こらすんません」

「どっちも棒読み!!!」

「棒読みとちゃいますけど?」

「……うん、私が悪かったね、ごめん」

「分かればええんです」





クソぉぉおおお!!!





「…ぇ、?」

「みっ見てる方が寒いんですわっ……!」





首元の急な温もりに、意識を戻ってこさせれば、首元には光のマフラー

私の首元にあるマフラーは光の首元に続いてる





「ホンマに世話かけさせんといてくださいな」

「…っ光!!」

「はい?」

「大好き!!!!!」

「わっ、」































いある日

い2人


(おっ、俺も好きに決まってるやないですか……//)
(うん、知ってる!)






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