SHORT

□雪振るあの日
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あれから子供たちは瞳子が用意してくれた上着やらを着込み、また真っ白な世界に飛び込んだ




「なまえ!雪だるま作りましょうよ!」

「雪だるま…?」

「そうよ!」




なまえが雪の感触を楽しんでいると、クララに話しかけられた

雪だるまをいまいち分かっていないのか、なまえは首を傾げている

それを見た玲名は雪をキャンバスに、雪だるまを描いてみせると、なまえは思い出したように手を打った




「あぁ、あれね!いいよ、おっきいの作ろ!!」

「うんっ!」




女子たちがきゃあきゃあ騒いでいると、それを見た男子たちが何やらコソコソ話し出し、女子たちの方に歩いてきた

そしてたまたま先頭にいた晴矢が女子たちに向かって大声で叫ぶ




「なら俺たちも作るぜ!」

「晴矢たちも?」

「そうだ!絶対女子よりおっきいの作ってやるからな!」

「フン、やってみろ」

「言ったね、玲名?…じゃあ勝負だ!」

「1回崩れたら終わりだかんな!!」




やはり子供だから勝負したくなるのか、男子と女子、2つに分かれ、スゴい勢いで雪を集め出した

しかしそこで、ヒロトが思い出したように叫んだ




「勝った方にはなまえがほっぺにチューしてくれるよ!!」

「「なに??!!」」




ヒロトの言葉に、全員がヒロトの方に振り向く

しかしそれも一瞬で、次の瞬間、子供たちの顔つきが明らかに変わった

そして先程以上に早く雪を集めだした


1番驚いたのはなまえだ

そんなコトを了承した覚えもないのに勝手に言われたのだから

なまえも不本意であるが、女子の方を手伝おうとする

しかし女子たちの顔が般若のように怖かったので近寄れず、縁側に腰掛けている瞳子の所へと向かった




「あら?どうしたの、なまえ?」

「皆が怖い」

「?…あぁ、たしかにそうね…」

「なんかいつのまにか景品にまでされちゃうし…」

「あれもあの子たちの愛情表現なのよ、なまえ」

「むぅー……」




なまえの拗ねように、瞳子は苦笑するばかりだ

そして瞳子は少し雪を掬い、小さな雪だるまを作ってみせる




「小さくても可愛いでしょう?」

「わぁ、ホントだ…!!」




なまえは瞳子の雪だるまが気に入ったようで、いろんな角度からその雪だるまを眺める

その時、庭でスゴい音がした




ドサァァッ




「「!」」




瞳子が慌てて視線を庭に戻すと、そこには雪で埋もれている子供たちの姿があった




「どうしたの、皆!?」




なまえたちは慌てて掘りおこしにいく

そして1番冷静であろう風介と玲名に話を聞く




「どうしたの、一体……」

「杏と夏彦がまた揉めだしたんだ」

「それでその拍子に雪だるまが崩れた」

「…はぁ」

「じゃあ勝負はおあいこか?」

「違うよ!」

「ぇ…?」

「勝者は瞳子姉さんだよ!はいごほーび!!!」

「!まぁ…」






雪振るあの日

(あっ、瞳子姉さんズリィぞ!!)
(なまえ、私にも!!)



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