SHORT

□泪色。
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ここは晴矢の部屋

その部屋の主はベッドに座り、ヘッドホンで音楽を聞きながらケータイをいじっていた




「…そろそろ私帰るよ」

「そっか。じゃあな」

「うん…」




私と晴矢はこれでも恋人同士だ

今でこそこんなに素っ気ないけど、初めは家まで送ってくれたしいろいろな所にも連れて行ってくれた

それが最近では、こんなに素っ気ないしずっと家デートだ

家デートっていっても、何にも話さないし、ただ自分がやりたいことをするだけ

お世辞でもデートなんていえないだろう




ガチャンッ




玄関を開けた瞬間、真冬の冷たい風が頬をさす




「そういえばもう少しで1年、か…」




そう、あの晴矢が私なんかに告ってきてくれて1年経つんだ

今思えばそれ自体があり得なかったんだ

私なんかに告ってくれる筈なんかなかっんだ







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私たちは同じ高校だった

学年は同じだったけど、話した事なんて全くないまま入学して2年が過ぎた

けどある日、私が日直で日誌を書くために放課後残っていた時それが変わった




「杏はなんで先に帰っちゃうかなぁ…」




あともう1人の日直、友達の杏は忘れたのか知らないけど先に帰ったらしい




「早く書いちゃって帰ろっと…」




そう呟いて、もう一度シャーペンを持った瞬間、教室の扉が急に開いた

するとそこには私が思いもしなかった人物が立っていた




「(南雲くんじゃないか…!!何で南雲くんが!?)」




話した事がなかった私はスゴく驚いた

そして話しかけてこないことを一所懸命祈ったが、その思いは虚しく散った




「…なァ、みょうじ」

「はっ、はいぃぃ!!」

「みょうじ1人な訳?」

「あっ、杏が先に帰っちゃって…」

「ふーん…、」




私の心臓はあり得ない程バクバクいってる

そして次に南雲くんが発したのはさっき以上に想像できなかった言葉だった




「好きだ」



「…ぇ?」

「だから、好きだっつってんだよ!!!」

「え、でも私たち1回も話したことなんか…」

「一目惚れで悪ィかよ!?///」




目の前の南雲くんは髪と同じぐらい顔が赤くて、いつもの怖そうな南雲くんとは別人だった




「つっ、付き合ってくれ…!!//」




気がついたら私は首を縦に振っていた




「マジ、で…?…ぃよっしゃァァァア!!!!」

「うわっ!//」




そして南雲くんは私に抱きついてきて私は椅子から落ちそうになったけどなんとか堪えた




「大切にするからな、なまえ!!//」






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「(あの時の晴矢はスゴくいい笑顔してたよな…)」


私はあの時以上にいい笑顔を見たことあったかな


最近登下校を一緒にできてないなって思って晴矢の親友の風介に聞いたら、晴矢は最近いろんな女子と登下校しているらしい

まぁそりゃ私と帰れないよね




「そろそろ潮時なのかな…?」



私は静かに頭上に輝いていた一番星を見上げた





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