Lei lo vuole!
□13章目
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「決して捕まえることの出来ない、花火のような光だとしたって…」
「もう一回もう一回、もう一回もう一回。僕はこの手をのばしたい…でしだっけ?」
「!涙…」
夜、ただ気まぐれで屋上に行ってみた
そしたら屋上には先客がいて、置いてあるベンチに腰かけ、ただ夜空を見上げながら淋しそうに唄ってた
私には気付いてないみたい
静かに歩きよって、少し空いていた隣に座りながらちょうど差しかかった、その歌で私が一番好きなところを歌い継ぐ
そこでやっと気付いたらしい
「私、この歌大好きなんですよ!…赤也くんもですか?」
「…おぉ」
「淋しそうに唄ってましたね」
「そうか?」
「はい。スゴく淋しそうに私には見えましたよ」
「…たぶん好きな奴想いながら唄ってたからだと思う。
すんげーすんげー好きなのに、叶わない可能性のが高いの。手を伸ばせば届きそうなのに、現実じゃどんだけ手を伸ばしても届かねー…。この歌と似てんだよね」
「…ホントに花火みたいですね」
「だよな」
「…でもいつかはきっと届くと思ういますよ?叶わない想いなんて絶対ない。ホントに好きなら諦めないでください、私は応援してますから!」
「……ありがと、がんばるわ」
「?はい!」
一瞬赤也がスゴく泣きそうな顔をしたような気がした
なんか見てるだけで、こっちが泣きたくなるような顔だった
けどそれはすぐにいつもの笑顔に戻ったから、見間違えだったのかな、と考え直す
「…そろそろ涙は部屋に帰れよ、風邪引くからさ!俺もすぐ帰るし」
「ぁ、はい、そうします!」
私は赤也の言葉に、部屋に帰るコトにする
何故か星に照らされてる赤也の顔がはっきり見えた
「…さすがにあれはキツいわ」
涙が去った後の屋上で、赤也は尻餅をついた
そして鼻で笑いながら、頭上で輝く星を見上げる
「好きな奴にあれ言われるってどんだけ俺可哀想なわけ…?…てか俺はそんなに男として見られてないのかよ」
この時ばかりは星すらも憎かった
あの星すらも、
(ボクらを笑った気がした)