Lei lo vuole!

□5章目
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「ほなまた後でな」

「あっ、はい!」




職員室に連れてきてくれた光くんに手を振りながら私は職員室の扉に手をかける




ガラッ




「失礼します、転校してきました公暁涙ですが」

「あぁ、待ってたで!俺が担任の黒木守や。これからよろしゅうな、公暁!」

「よろしくお願いします、黒木先生!」




ジャージ姿で、首に笛。
典型的な体育の先生だな

年は20代前半かな?

普通に爽やか先生で、絶対人気があるタイプだと思う




「今から紹介したいところやねんけど、まだ皆来てないねん。だから学校ん中見とってくれへん?後30分ぐらいはあるから」

「はい、分かりました!」

「誰か案内させよか?」

「皆さんお忙しい時間だと思うので私1人でいいですよ」

「あ、ホンマに?助かるわ!心優しい生徒が入ってきてくれて俺、嬉しいわ」

「はは…。では失礼します」

「おん!」




私は黒木先生にお辞儀をして職員室を出た


…さて、どこに行こうかな




PiPiPiPiPi




「ん?」




そんな時、私のカバンの中にあった携帯が鳴り響く

私は校舎から出ながら携帯を取り出す




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FROM:侑士先輩

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「侑士先輩、から……?」




着信ボタンを押し、恐る恐る携帯を耳元に運ぶ




「もしもし…?」

『涙かッ??!!』

「あっ、うん。私の携帯なんだから当たり前だよね?」




侑士先輩の馬鹿でかい声が頭に響いて痛い




『心配してんで?!昨日急に電話きたと思ったら急に大阪に転校かて…!なんなん、涙は俺を死なしたいん?俺涙おらんかったら死ぬん知ってるやん!ほかの奴らとか涙のファンクラブの女子らもヤバいねん。学校の半分以上の生徒が登校拒否しよって、先生らも大パニックや。肝心の跡部も魂抜けとるし、日吉とかホンマいろいろ危なかってんで?それにほかの中学ならまだしも四天宝寺て…。謙也アイツ羨ましすぎやろ!次会った時アイツ覚えとけよ…。てか襲われとらんよな?涙の初めては俺って予約入れとるやんな?あぁ、涙の綺麗な脚が見たいわぁ…!今から大阪行きたいわ。てか行っていいやんな?』

「いつもながらノンストップだね、お疲れ様。いつも思うんだけど、よく息切れしないよね。てか最後の却下」




毎度毎度、侑士先輩からの電話での一呼吸に話す量には驚かされる




「てか襲われるって何。先輩に初めてあげるなんて初耳ですよ」

『だって初めて話したんやもん』

「…はぁ、」




いろいろ先輩はおかしい

いつも私をおちょくってくる

けどその度に『俺は本気やで?!』って言うけど、先輩みたいなイケメンが私なんかにあり得るわけがないよね

今回のだってきっと冗談だろうけどさ、内容が内容だからちょっと恥ずかしくなる




「てかどうしたの?急に電話なんて…」

『朝に涙の声聞かれへんとか本格的な地獄やないか!』

「地獄?!」

『涙の声はなんか癒されんねんなぁ…〈は?涙…?〉げ、日吉……!!〈代わってください、先輩〉誰が…!〈宍戸さん!忍足先輩が勝手に涙に電話を!!〉ちょ、何言うてんねん鳳?!…ぎゃああぁああ!!!!!』

「侑士先輩?!」




急に若と長太郎の声が聞こえたと思ったら、侑士先輩の断末魔が聞こえた


…いや普通に何があった?



しばらくの間侑士先輩の断末魔が続いたけど、急に違う声に変わった




『涙…?』

「あ、若だ!てか侑士先輩どうしたの?」

『…………あぁ、石に躓いて転けた』

「その割には考えられないぐらい叫んでたよ?!それに何、その間は?!」

『あぁ、痛そうだったからな。』

「全部スルーの上それだけで済ませちゃう?」

『ちょっ、俺にも代わって!』

「長太郎!若、代わって?」

『……』

『…俺!元気?すんごく涙と会いたいよ』

「私も長太郎には会いたい。癒されたい」

『俺も!…ちょっ、宍戸さん!携帯取らないでください!まだちょっとしか話してませんよ!!』

『いいじゃねェか。……涙か?』

「うん!亮先輩だよね?」

『あぁ。てかいきなり転校なんてビックリしたぜ』

「私も昨日まで知らなかったの!それより景吾先輩、魂抜けてるって本当?」

『おぉ、朝からずっとそうなんだ』

「へぇー」




何?まさかの風邪か?

最近流行ってるらしいからなぁ…




『ぁ、ジローに代わるぜ?後ろで超うるせェ』

「了解」

『もしもし涙?』

「そうだよ、ジロー先輩!」

『なんで四天宝寺なんて行っちゃったの?おかげでサボり仲間がいなくなっちゃったC!』

「まさかのその理由?」

『冗談!そうそう、涙が転校したって聞いてアイツが超威張りだしたんだー!!』

「アイツ…?」

『愛沢だぜ』

「ん?この声は岳人先輩かな?」

『おぉ正解!』




…そういえば、さっきから氷帝テニス部、レギュラー陣が続々と集まってきてない?




「てかまた姫華ちゃんかー…」




姫華ちゃんは氷帝テニス部の本マネージャー


でも仕事はしない

そればかりかテニスの邪魔をしてくるらしく、皆迷惑してる

景吾先輩も何度か、マネージャーを解任させようとしたらしいけど、姫華ちゃんは大手大企業社長の一人娘らしく簡単にはいかないらしい

噂じゃ結構いろんな人に嫌われてるみたい

そして何故か私はその姫華ちゃんに、異常に嫌われてる

私、たしかマネージャー業手伝いに行った時、数回話しただけなのに超睨まれたもん


なに?

マネージャーじゃないのに邪魔だ、とかいう意味か?

なら仕事しやがれ


とか思ったのを覚えてる




「今度はどうしたの?最近大人しかったよね?」

『なんかさ、涙が転校したって聞いたらしくて、《公暁涙は姫華が怖くて逃げだしたんだわぁ》って言い出してさ』

「わお、自意識過剰もいいとこだね!」

『だろ?!それで皆イライラマックスってわけだぜ』

「ふーん…。…まぁ私は一生会わないだろうからもういいんだけどね」

『酷くないか?!俺たちを見捨てるのか?!』

「人間、最後に1番可愛いのは自分なんだよ」

『いつもの涙からは考えられない発言だな!?』




ここでふと時計を見ると、いつの間にか30分が過ぎようとしていた


ヤバっ!!




「もう時間だ!!1回切るね!?」

『あ、おい!プー プー プー プー』




…うん、ごめんよ皆







謝るしかできません

(お、ほな教室行こか)
(はい!)




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