ローダンセを貴方に

□拾漆幕
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グリムジョーが帰ってくると、涙目になるほど爆笑していた私は軽く叩かれて、無理矢理笑うのやめさせられた
(ディ・ロイは思いっきり蹴られてむせてたけど)

グリムジョーが呼ばれたのは、案内してくれると1番に言ってくれたディ・ロイとシャウロンの任務についてだったらしい

数言愚痴を零しながらも部屋を出ていった2人を見送る


ここで、食べる手を止めていたのを思い出してまた手を動かせ始める

正直、グリムジョーが私の前の席に腰をおろして興味深そうにのぞき込んでくるから緊張で食べづらい

それもなんとか乗り切って、半分以上食べ進めたところで、お腹いっぱいになったから手を止めた

近くにあった、黄色のなんの果物か分からないジュースを一口飲んでから手を合わせる





「……結構食ったな」

「うん、私大食らいってよく言われる」

「まあ食わねえよりは絶対いいと思うぜ。よくそんな食って太んねえな」

「その分ちゃんと消費するからね」

「……デブんなよ?」

「私も太りたくないから頑張る」





そんなに食べ過ぎたかな?

食器を下げにきてくれた破面さんも目を見開いてたし

うーん、周りもそんな人たちがいっぱいだったし、改めて気にしたことはなかったかもしれない

真子も食べるほうだったし、拳西も………





「あ、」

「?どうした?」

「、なんにもないよ!ちょっと思い出に浸ってただけ」

「そうか?」





私の中では真子たちと過ごした日々はつい数日前のことで、けど、この世界ではものすごい年月が経っていて、

そんな年月の中で、真子たちはいなくなってた

その原因は、私をこんなことにした原因は、





「瑞希!さっきディ・ロイの奴も言ってたけどよ、虚圏、っていうかこの辺の宮とか探検してみるか?こんなとこいても、おもんねぇだろ?」

「………あ、うん。そうしようかな。なんにも私は知らないからね」

「じゃあ案内してやるよ!まず俺の宮からだな」

「ほかの破面にも自分たちの宮があるの?」

「いや十刃だけだ。従属官たちは大体その仕える十刃の宮で生活するな」

「あとの破面は?」

「自室ぐらいはもらえるからそこで生活してる。給仕やってる奴らもいるし」

「さっきの破面みたいに?」

「あぁ。力のねぇ奴はそんなことをしてしか生きていけねぇ」

「まさに弱肉強食だね」

「そんなもんだろ?」





そんなたわいもない話をしながらグリムジョーの自室から出た瞬間

急にものすごい風が私に吹いてきて思わず目をつむってしまう

ゆっくりと目を開けたら、真っ白ななにもない空間の真ん中に私はいた





「、え?」

『急にすまないね、瑞希さん。僕は第八十刃(オクターバ・エスパーダ)、ザエルアポロ・グランツだ。今日は瑞希さんの実力が見たくてね、少し手荒な真似をしてしまったんだけれども、この部屋に招待したんだ。この部屋では特別にその数珠の効果が無効になるようにしてある。今から送る僕が造った死神ロボットを鬼道、斬魄刀、手段はなんでもいいから全て斬ってくれ』

「すごい自己中だね」

『よく言われるよ。...じゃあ一旦さようなら、瑞希さん』





どこからか聞こえたその声がそう言い終わった瞬間、私の周りにはすごい量の真っ白な人の形をしたなにかが現れた

その腰には斬魄刀のような刀もある

うーん、食後すぐの運動は好きじゃないんだけど、トレーニングにはちょうどいいかもしれない


神然丸に手をかければ、騒がしいくらいに3人の声が聞こえる

ザエルアポロって奴が言ってたのは本当らしい

久しぶりの感覚に、鳥肌が立った

神然丸を抜いて、霊圧を込める





「...満ち溢れろ、神然丸」





次の瞬間、私の半径1m以外全部水で満たされて、神然丸を握ってない方の手を思いっきり握ればそれに比例して水の中の水圧も上がったみたいで水中の死神ロボットは簡単に潰された

神然丸を回せば、周りの水を吸い込んでいってすぐに水は無くなった

周りには壊れたおびただしい数のロボットだけになったんだけど、すぐにそれは消えて、また何もなかったかのように同じ数のロボットが現れる





「無限に出てくるのか。...いいね!!これは楽しめそうだ!!!」





いきなり飛び込んできたある1体のロボットが合図みたいにほかのも斬りかかってきた

久しぶりに暴れられそうで思わず笑顔になる

霊圧で吹き飛ばして、私もそいつらの中に駆け出した
























「想像以上だよ、瑞希さん」

「あれ、もう終わり?」





その後の記憶はほとんどない

とりあえず斬っては斬って、たまに鬼道をぶっぱなして、汗が滴るくらいにとりあえず暴れた

何度目かの全滅で、急に私の視界は変わる

どこかの研究室にいて、目の前にはピンクの髪をしたオカマみたいな人がゆっくりと拍手をしながら立ってた

あ、この人、ここに来て最初に私がいた所にいた気がする、たしか

このピンクの髪に見覚えあるし

もう一度神然丸に手をかけても、もう声は聞こえなかった





「改めて、初めまして。ザエルアポロと呼んでほしいな」

「たしかに自己中みたいな顔してる」

「さすがに面と向かっては傷つくよ?」

「嘘つけ、絶対してないくせに」

「予想通りの人だよ」

「この数珠はザエルが造ったの?」

「ああ、そうさ。よくできてるだろ?」

「藍染に頼まれて?」

「たしかに藍染様には頼まれたけれど、ほとんど自主的さ。これがなかったら君はある一室に監禁状態だっただろうね。感謝してほしいよ」

「よく言うよ。最初から私の実力だめしをするためにあの空間でだけは効果が出ないようにしてたくせに」

「君は僕の研究対象だからね」

「私は死神だ。研究対象なんかじゃない」

「死神自体が研究対象さ、僕からしたら」

「...知り合いにも似たような奴がいるのを思い出した。マユリとなら話が合いそうだね」

「どうだろうね?研究者は少しでも意見が違えば、あっという間に敵同士さ」

「へー」





腕で額の汗を拭えば、ザエルが白いタオルを手渡してくれた

なんだか薬の匂いがする





「なにか飲み物もいるかい?」

「薬とか盛られてそうだからいーらない」

「信用されてないなあ」

「似てるって言った人にいろいろ盛られてきたからね。そりゃ用心するよ」

「僕が先に飲むって言っても?」

「マユリみたいに抗体をもう持ってそうだからやだね」

「...たしかにその研究者と話が合いそうだ」

「大正解かよ」

「いや、グリムジョーや藍染様があんなに興味を持つんだ、なにかあるのか気になってね」

「残念ながら至って普通の死神やってます」

「佐藤瑞希、元五番隊隊士。上司、同期共にすべての人からの人望が厚く、頼れる特攻隊長だったらしいね」

「ストーカーかよ」

「ストーカーとは酷いな、君という存在にただ単純にそそられただけなのに」

「ストーカーより気持ち悪いな!!?」

「僕は研究者だ、そそられたものには全力で情熱を注ぎたくなるんだよ」

「悪い予感しかしないんだけど」

「君をいろいろと研究しているうちに愛おしく思えるようになってきたんだ」

「え?聞いてる?てか頬を染めるな、両手を添えるな」

「最近のところ君のことばかり考えてしまっていてね、ほかの研究には手がつけられないほどなんだ。研究対象に愛しさを感じるのは初めてで、僕自身戸惑ってるよ」

「聞けよ。マイワールドに入るんじゃない」

「それでね、考えたんだけどこのまま僕の宮に住んでみたらどうかな?当たり前だけど不自由はさせないよ」

「待ってこの人怖い。お願いだからマイワールドから帰ってこい」

「嗚呼瑞希、僕は君に恋をしてしまったようなんだ」

「う、うわぁぁぁああああ!!!!!!」

「ひぐうっ!!!」





条件反射で近くにあったフラスコを投げて、使えることを思い出した瞬歩を全力で駆使して逃げました

え、破面怖い




























(おい!どこ行ってたんだよ瑞希!!!??)
(私が1番聞きたいよ)








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