ローダンセを貴方に
□拾壱幕
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一護を助けた後、どっかの建物に逃げ込んだ
息切れする夜一さんを見ながら私が開けた一護のお腹の傷を治していく
「フ、百年も実戦から遠退いておったツケか…。百や二百の瞬歩の連用で息が上がるとは、儂も衰えたものじゃ…」
「…夜一さん、」
「なんじゃ?」
「百年くらい現役やってないってどういうことですか」
「………瑞希、」
「ずっと不思議でした。喜助が現世にいるし、夜一さんも引退してる。あの真子たちがみんな一緒に死ぬなんて、」
「瑞希、今は聞くな。これが終われば………全て話す」
「、はい」
「っげほ、がは、」
「一護!」
「っどうしてだよ!!!!」
「ッ、」
「瑞希!!」
「どうして俺だけ連れ帰ったんだ!!!!!」
咳き込みながら起き上がった一護
思わず名前を呼べば胸ぐらを掴まれて壁に押し付けられた
さすがにちょっと苦しい
夜一さんが私の名前を呼ぶ
一護の言いたいことは分かった
「あそこに残されて生き残れる可能性が一番高いのは俺だ!!!これじゃあ岩鷲も花太郎もルキアもみんな殺されちまう!!!!」
「…自惚れんな」
「なっ、」
「生き残れる可能性が高い?殺される?何言ってんの。隊長になるくらいの実力ある白哉にこの間死神始めたばっかの奴が勝てるわけないじゃん。護廷十三隊舐めてんの?
何も知らない奴がいきんな。あのままじゃ殺られてたんだよ、みんな」
「!!ッ、」
「傷開くだけだから騒がないでよ?…いくら夜一さんでもあの数全員を逃がすなんて無理に決まってる。じゃあなんで一護を逃がしたと思う?なんでルキアを逃がさなかったか分かる?……ルキアを、みんなを助けたかったのが一護だけだったなんて考えんな…ッ!!!!」
「瑞希、……」
「…あの時あそこにおった者の中で白哉を倒せる可能性のある者なぞ瑞希くらいじゃった」
「は?」
「けれど阿奴を倒したとしても、援軍が来て皆お陀仏じゃった。…じゃが3日あれば、お主…一護もその可能性が見えてくる。そう思うたから儂はお主を連れ帰った」
「それに浮竹隊長は優しいし殺すようなことはしない。あの人は砂糖菓子みたく甘い人だから」
「お主は強くなれ、一護。今のままでは白哉には勝てぬ。じゃが3日で勝てるよう鍛え上げてやる。…そしてもう一度お主の手で今度はみんなをまとめて助け出せ!!」
さっき私が身体を反転させて押し倒したままの一護が私の下で、たしかに目を輝かせた
私は一護の上からどく
そうすれば、一護は気まずそうに私を見た
「瑞希、悪ぃ、俺………」
「……うん、別にいいよ。私こそごめん、酷いこと言ったね」
「いや俺も、」
「でもね、ルキアたちを助けたいのは一護だけじゃないことだけは分かっててね」
「あぁ…!!」
「…では早速修行を始める、ついて来い」
「おう!!!」
(瑞希、別人みたいだったな)