大空少女。

□18話目
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 『お前は役立たず』



 『出来損ない』



 『お前なんていらない』





「私はッ、ツナたちに必要とされてる!!!!」





 『そんなの上目だけ』



 『ただの同情だ』





「わた、しは……!!!」
























「!!うわぁ!!!!」





私は飛び起きた

額には汗が滲んでる


……久しぶりにあの夢を見たな

上半身を起こせば、頭がガンガンした

痛む頭を抑えながら辺りを見渡す

どうやら知らない部屋みたいだ

ここで気付いたんだけど服はいつもの仕事着じゃなくて黒いVネックのTシャツと黒いジャージ

武器は……、見える範囲にはない


その時ドアノブが回される音がした

私はベッドから飛び降り、ドアノブを回した奴が入ってきた瞬間手を後ろに纏めあげて床に叩きつけた





「!!い"っ、て……!!!!!」





床に叩きつけてから気付いた

今の声

金色の髪に独特な黒い服





「ベル、………?」

「王子だっつの!!」

「え、あ、ごめん…!!」

「ったく……。王子にこんなんできんの桃子ぐらいだぜ?」





ベルだった

私は慌ててベルの上から下りる

それからベルに肩を押されながらベッドに座らされた

ベルは少し呆れながら、さすがブロディーウォッチだなー、なんて呟いてる





「じゃあここはヴァリアーの支部……?」

「…もしかして覚えてねーの?」

「え、」

「桃子、熱だして弟庇った後倒れたんだぜ」

「マジですか」

「マジだ」

「……それでなんでヴァリアー?」

「俺が連れてきたかったから」

「なんつー自己中!!」

「疲れからくる高熱だってさ」

「……疲れてないよ」

「嘘はいいって。今日だけはちゃんと休んどけよ」

「はーい。そういや私の武器と仕事着は?」

「武器は違うところに、服は濡れてたから洗濯中。今着てる服は下っ端に買ってこさせたやつ」

「…あ、あのさ、」

「ん?」

「着替えは、誰が………?」

「!!それはメイドだっつーの!!!!!」

「良かった……!」


「「………」」





なんか恥ずかしくなったから2人して俯いた

めっちゃ気まずい!!





「…なぁ、」

「うん?」

「何の夢見てた?」

「…なんで、」

「すんげー魘されてたからさ。天下のブロディーウォッチが怖がるって、一体なんの夢見てたわけ?もしかして幽霊とか?」

「………そんな可愛いもんじゃないよ」

「は?」

「いや何にもない!」

「…話せよ」

「、え」

「敵だから信じらんねーかもしれねーけど、なんか俺、桃子の悲しそうな顔だけは見たくねーんだよ!自分でもよく分かんねーけど!!」

「ベ、ル……?」

「…まぁ無理にとは言わねーけどさ!!」





頭の後ろで手を組んで向こうを向いたベル






「………はな、すよ」

「!」





私は重々しくも口を開いた







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